final fantasy

□貴方の愛に囚われて
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「ぅん・・・?クラウド?」







なんとなく肌寒く感じて目を覚ますと

眠る前まで私を抱きしめてくれていた

クラウドがいない。

サイドテーブルの時計を見てみると

ちょうど夜が半分過ぎた頃。

こんな時間に目を覚ますことなんて

めったにないけど

今日は何故だか

自然と目が覚めてしまった。

理由はきっと・・・。







「・・・いない、から、よね。クラウドが」







ポツリと息を吐いたのと同時に

紛れて呟いてみると

急に寂しさが心一杯に広がった。

ベッドから出ようとシーツをズラすと

私は固まってしまった。

何も着ていなくて裸のままだった。

そして、月明かりに照らされて

ぼんやりと見える自分の体に刻まれた紅い印。

眠る前まで彼に激しく

愛されたことを思い出した。

一気に顔が熱くなってきっと真っ赤だ。

体までなんだか熱くて

そこまで考えて我に返った私は

足元にあったクラウドのシャツを

一枚羽織って彼を探した。

探すといっても家の中だから

すぐに分かると思う。





寝室から1階のリビングへ下りてみたけど

クラウドの姿が見えない。

キッチンを覗いてみてもいない。

お風呂もトイレにもいない。

なんだろう・・・だんだん不安になってきて。

また、寝室へ戻ろうと階段を上っていると

どこからか冷たい風が入ってきた。

見てみるとベンランダへの窓が開いていた。

誘われるようにベランダへ出てみると・・・

探していた彼がいた。







「・・・クラウド」



「ん?・・・どうしたんだ?エアリス」



「急にいなくなっちゃう、から・・・」



「ああ・・・目が覚めて寝付けなかったから

少し風にあたってたんだ」



「・・・そう」



「くすっ・・・寂しかったのか?」



「えっ・・・・・・うん、そうみたい」







月明かりに照らされたクラウドの髪が

白く金色に透けてとてもキレイ。

なんて見つめながら答えると

彼から小さく笑いながら聞かれた。

寂しかった?

うん、寂しかったわ。

ずっと一緒にいるからなのか

ほんの少し離れていただけで

こんなにも必死になって探す程

私は寂しかったみたい。

素直に答えると私はクラウドに

遠慮がちにすり寄った。

そうするとクラウドは

優しく抱き込んでくれた。

少し冷えた身体が

彼の温もりで満たされていく。







「ねえ、クラウド」



「・・・なんだ?」



「私、ね?

もしかしたら、クラウドなしじゃ

生きていけないのかもしれない」



「そうか」



「そうか、ってなによ!

私・・・どうしたら、いい?」



「・・・どうもしなくていいさ。

そのままでいい。俺は前からそうだからな」



「えっ?」



「・・・俺はもうずっと

エアリスなしじゃ生きていけなくなってる」







クラウドからその言葉を聞いて思わず

彼の腕の中から顔を見上げた。

クラウドは顔を横へ向けてそらしていたけど

ほんのりと紅く染まった頬が見えた。

言葉にするのが得意じゃない彼から

こんなことを言ってもらえるなんて

思わなかった。

嬉しくて嬉しくてギュッと抱きついた。

すると、クラウドも

抱きしめ返してくれて・・・

耳元で急に囁かれた。







「エアリス」



「・・・なぁに?」



「そろそろ部屋へ戻ろうか」



「うん」



「身体も冷えてるみたいだし・・・

俺が温めなおしてやるよ」



「えっ!?」



「どうしたんだ?顔、真っ赤だぞ?」



「もう!クラウドのエッチ!」



「何のことだ?

俺は一緒にベッドに入って温めてやる

そういう意味で言ったんだけど?」



「なっ・・・」



「ヤラしい想像したのはエアリスだろ?」







くつくつと笑うクラウドに

言い返す言葉が見つからない。

こういう時のクラウドには

なかなか勝てないもん。







「じゃあ、エアリスの望みどおり

朝まで頑張ろうか・・・」



「なっ・・・そ、そんなこと

頑張らなくていいの!」



「いいのか?」



「・・・クラウドがしたい、だけじゃない」



「・・・分かった。

じゃあ、今日は止めようか」



「えっ!?」



「・・・何?嫌、なんだろ?」



「違う、の・・・あの・・・」







思わず不満げな声をあげてしまって

言い訳も何もない。

だって、本当は・・・

恥ずかしいというだけで

嫌なわけではないのだから。







「何?」



「分かってるくせに・・・いぢわる!」



「さあ?意地悪なんて、今更だろ・・・

俺はエアリスの口から聞きたいだけだ」







耳に口づけながら囁く彼の熱い息がかかって

そこから甘く痺れていく。

ゾワゾワと痺れるような感覚が背中を走り

そのまま全身の力が抜けて

漏れそうになる声を

手で口を塞ぎ必死に抑える。

チュっと水音が鼓膜に響いて

もう拒むなんてできない。







「エアリス」



「ん・・・お願、い・・・クラ、ウドぉ・・・

どうにか、して・・・ふ、ぅ・・・あ・・・」



「くくっ・・・本当に耳、弱いな。

いいよ、朝までちゃんと温めてやるから」







横抱きにされて彼が向かったのは寝室。

ねえ、さっき言ったことは

冗談なんかじゃないんだからね?

私はもう、貴方がいないと

生きていけないの。

一度は貴方を置いて

逝ってしまった私だけど・・・

どうか、私を手離さないで。

どんな些細な時間でも

離れてしまわないで。

身体も心も

貴方に囚われてしまっているのだから・・・。










〜end〜


 

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