final fantasy

□雪夜に願う
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気付けば夜になっていた。

どれ程の時間

窓の外を眺めていたのか・・・。

振り返るとテーブルには

買ってきたケーキとシャンパン1本

グラスが2つ。



今日は私は休みだったが

ホープの方は休みがとれなかった。

それでも、そんなに遅くはならないと

言って朝出て行った。

時計を見ると18時。

ああ・・・ケーキを買って帰って

テーブルの上に準備ができたのが

確か16時前だった。

2時間も窓の外を眺めていたのか、と

そんな自分に思わず苦笑した。



今の私はホープがいないと

すぐにこうなってしまう。

ホープがいない時間を

どう過ごしたらいいのか分からなくて

気がつけば時間が経っている

そんなことばかりだ。

以前の自分はこういう時に

何をどうして過ごしていたのか。

今となっては、もう思い出せない。

きっと、長くホープと居過ぎたからだ。







「・・・遅くならない、って

言ってたのに・・・」







外を見ながら呟いた言葉や口調が

まるで拗ねた子供のようで

自分で自分を疑った。

ホープのせいで私は

どんどん変わっていってしまう。

でも、それも悪くはない。

いや、今の自分に呆れることはあっても

意外と気にいっている

自分がいることも知っている。

こんな風に誰かの帰りを

待ち遠しく思う自分・・・

あの戦いで共に戦った仲間達が見たら

きっと驚くんだろうな。

いや、からかわれるか?

それでもホープと共にいることを決めて

後悔なんてしていない。







「ただいま・・・

すみません、遅くなりましたね。

今、戻りました」



「ホープ・・・おかえり。

寒かっただろ?」



「少し・・・

今、雪が降ってきましたからね」



「雪?」



「はい」







コートを脱ぎながら言われたことに驚き

ホープから離れ窓から外を見つめた。

彼の言うとおり細かな雪が

チラチラ降っている。

ついさっきまで眺めていたのに

気付かなかった。

まあ、あんなに考えごとを

しながらなのだから

目に映していただけで

映像として理解はしていなかった。

外を眺める私を

ホープが後ろからスッポリと抱きしめた。

いつの間にか

私の身長を追い越したホープは

その腕や背中、その眼差しが

どんどん一人の男のものへと

変化していった。

今だって私を見るその瞳の奥には

純粋さなどなく熱い何かを秘めている。

最近、この瞳に弱い。







「ホワイトクリスマス、ですね」



「そう、だな」



「ライトさん」



「なんだ?」



「メリークリスマス」



「・・・ああ、メリークリスマス」







返された言葉に私も返すと

すっと瞳を細めるホープ。

頭の隅で次に彼のとる行動を

分かっているのに

動くことができずに

そのまま彼を受け入れてしまった。

優しく気遣わしげな唇を感じながら

きっと、私が望んでいたのだと・・・

受け入れてくれたは彼の方なのだと

そんなことを考えていた。







「ライトさん?」



「え?」



「乾杯の前に・・・

ライトさんが欲しいです」



「えっ・・・」







爽やかな笑みで何てことを言うのかと

初めの頃は抵抗したものの

結局は彼に勝てたためしがない。

最近では紅く熱くなる

顔と身体は変わらずとも

私も彼を欲しいと思うようになっている。

これも、ホープの影響、か。







「駄目、ですか?」



「・・・私が、否定すると思うのか?」



「くすっ・・・いいえ」



「・・・なら、聞かなくても・・・」



「はい、聞かなくてもいいかもしれません。

でも、やっぱり・・・

貴女が嫌がることはしたくないので」



「・・・嫌がらなくしたのはお前だろ」



「そうですね」







ニコニコ頬笑んで言いながらも

その手は妖艶な動きを見せ

私の身体の熱を引き出すように

撫でまわしていく。

その動き一つひとつを鮮明に感じながら

彼の次の行動を待っている。





この雪が私達二人を

このまま閉じ込めてくれたなら

この二人だけの世界に

閉じ込めてくれたなら

いつの間にかそんなことを思う程に

私は彼に溺れていた。



聖なる夜。

二人の愛よ永遠に・・・。











〜end〜


 

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