final fantasy

□花びらヒトヒラ
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リビングで何をするでもなく

ぼんやりと過ごしていた。

庭へと続く窓は開け放たれていて

その先ではエアリスが洗濯物を干している。

その様子は何故か楽しそうで

何がそんなに楽しいのかは

全く理解できないが

そんな彼女の様子を見ていると

俺も嬉しくなるから不思議だ。



すると、どこから紛れてきたのか

ひらりと薄紅色の欠片が

室内へ舞って入ってきた。

足元へと舞い落ちたその欠片を

拾い上げてみた。







「・・・桜?」



「どうしたの?」







洗濯物を干し終えたのか

エアリスが室内へと入って来た。

彼女を自分の隣りへと誘うと

気付いてくれたらしく

ソッと隣りへ座ってくれた。







「ほら」



「ん?あっ、桜ね」



「さっき、風に乗って入って来た」



「外も温かいから

キレイに咲いてると思うわ」







花の話になると

とたんに表情が明るくなる。

そのことになんとなく嫉妬を覚えるけど

そんな表情にまた惹かれてしまうから

仕方ない。







「エアリス」



「なあに?」



「・・・桜、見に行こうか」



「今から?」



「何か予定、あるのか?」



「ううん!

私も、行きたいと思ってたの!」







その正に花が綻んだような笑顔に

心奪われながら

もう一度手の中にある

薄紅の欠片を見つめ

満開に咲き乱れるその様を想像した。





君と過ごす、幾度目かの春のこと・・・。









〜end〜


 

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