final fantasy

□翌 朝
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いつもの朝。

そうなるはずだった・・・。





ゼ「っくぁあ〜・・・おはよぉ〜」



ア「おはよ〜って、ゼル・・・

僕より先に寝てたのに今起きたわけ?」



ゼ「ん〜?ああ・・・

昨日あんま寝れなかったんだ」







エスタのホテルに泊まった一行。

現在は朝と呼ぶには

多少遅すぎる時間。

そんな時間になってようやく

ホテル内のレストランへ姿を見せた

寝不足をあからさまに現わしているゼル。

そして、そんなゼルに向かって

軽く声をかけるアーヴァイン。

さほど気にかけていないのか

サラダを口へと放り込みながら

食事を進めていく。

そんなアーヴァインを見て

眠気を抑えながら遅めの朝食を摂る為に

プレートを取ってパンと飲み物を乗せ

ゼルもテーブルについた。

調度アーヴァインの向かい側。







ゼ「ん?なぁ、キスティスとセルフィは?」



ア「あの二人なら朝食もそこそこに

ショッピングモールへ出かけたよ」



ゼ「あ〜・・・

そういや、何か買いたいものが

あるっつってたな・・・ふ、ぁあ〜」



ア「うん・・・

昨日、そんなに眠れなかったんだ?」







いつものごとくパンを口へ詰め込みながら

未だ眠そうな目に大きな欠伸。

無視することもできずに

アーヴァインはそんなゼルに

寝不足の理由に触れることにした。







ア「個室だったし、ゆっくりできただろ〜?」



ゼ「まぁ・・・そう、なんだけど・・・さ」



ア「ん?・・・・・・ぁ」



ゼ「!な、何だよっ」



ア「ん〜、別に?

たださぁ、ゼルの部屋の隣りって

確かスコールの部屋だったよな〜って」



ゼ「っ!?ぶふっ!?」



ア「ちょっ・・・汚いって!」







アーヴァインの口から出た名前に

思わず吐き出してしまったゼルは

目の前のアーヴァインに

全てを吹きかけてしまった。

テーブルと自分の服を拭きながら

注意する彼を余所に未だ噎せ返るゼルは

涙目になりながら何とか落ちつこうとした。







ゼ「ゲホッ・・・わ、悪い・・・」



ア「はぁ〜・・・で?

昨夜、何があったのかな?」



ゼ「な!?な、何、って・・・」



ア「眠れないくらいの何かがあったんだろ?」







心配されている・・・という感じはなく

寧ろ楽しげな目の前の男に

渋々眠れなかった理由を語り始めた。

その理由とは・・・。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





ゼ「はぁ〜・・・疲れた・・・

もう寝るか・・・」







戦闘続きだったし

やっとベッドにありつけたのと

個室っていうので

余計にリラックスして。

すぐに眠ろうと思って

ベッドに横になったんだ。

で、ウトウトし始めたら・・・。







-ガタッ・・・-



ゼ(!?・・・何だ?隣り?)



『ちょっ・・・待って・・・』



『・・・さっきからずっと待ってる』



『あの、ね?・・・私にも心の準備が・・・』



『準備なら今しろ。ここで』



『!?そんなのムリ・・・きゃっ!?』



ゼ(え・・・こ、これ・・・

スコールとリノア、だよな?)







何で二人の声が、って思ったんだけど

すぐに俺の部屋の隣りがスコールだって

思い出したんだ。

そっか・・・って、それで納得もできないし!

だいたい、こんな時間にスコールの部屋に

リノアがいることはおかしいだろ!?

そりゃあ・・・スコールとリノアは、さ

こ・・・こ、こ恋人・・・な、わけで。

で、でも!今日はみんな疲れてるし

ゆっくり休むべきだし・・・。







『ん・・・ぁ、ん・・・ね、待、ってぇ』



『駄目だ』



『あ、ん・・・ぅん・・・

せ、めて・・・ベッドが、いぃ、の・・・』



『却下だ』



『そ・・・あぁ・・・ん、ぁ・・・

こ、な・・・立って、られ、な・・・』



『ベッドまでも待てない・・・諦めろ』



『やぁ・・・あ、ぁん・・・あ・・・』





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





ア「あはは〜・・・スコールも元気だね」



ゼ「笑い事じゃねえよ!

おかげで一晩中あんな声やこんな声が・・・」



「何騒いでるんだ」



ゼ「ぅわぁ!?」







後方からかかった声に

思わず立ち上がり叫んでしまったゼル。

アーヴァインも流石に気付いてなかったのか

驚いた表情を見せていた。

話題にしていた本人が突然現れたら

誰であっても驚くもの。







「・・・うるさいぞ、ゼル」



ア(っていうかさ

気配殺さなくてもいいんじゃない?)



ゼ「わ、悪い・・・」



ア「おはよ、スコール。

今日は珍しく遅かったね〜」



「・・・疲れてたからな」



ゼ(そりゃあ、一晩中・・・いたしてたら

疲れるに決まってんだろ)



ア「ふ〜ん・・・

そういえば、リノアがまだなんだけど」



ゼ「っ!?」



ア「スコール、知らない?」



「・・・まだ寝てる。

俺も朝食を取りに来ただけだ」



ゼ「え・・・食べてかねえのか?」



「俺がどこで食べようと勝手だろ」







そう冷めた表情で告げると

スコールは言葉どおり

受け付けで朝食を紙パックにつめてもらい

紙袋に入った食事を手に部屋へと戻って行った。

食事はしっかり二人分。

リノアの好きな紅茶もあったように思う。







ア「えらく開き直るようになったもんだね」



ゼ「・・・イヤだ・・・

後二日ここに泊まんだろ?

二日間も俺、あの部屋に泊まる自信ねえよ!」



ア「ん、まぁ・・・ご愁傷様」







泣きだしたゼルに同情はするも

部屋を代わってやる気はさらさらないようで。

アーヴァインは冷たくなったコーヒーを

一口飲みながら・・・

今夜も激しく愛し合うだろう二人を

羨ましく思った。







ア(はぁ〜・・・僕もセルフィとしたいなぁ)







そして、その二日間。

アーヴァインは愛しのセルフィの代わりに

ゼルと添い寝をする羽目になったのだった。









〜END〜


 

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