etc

□Unripe love
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「…はぁ…またか」       

          

          

           
夜も半ば。

明るい満月が真上に浮かぶ頃。

深い眠りについたであろう

アメリアの部屋にジャンはいた。



睡眠を必要としないジャンは

アメリアが眠りにつく

この数時間が退屈でならないのだ。



何故、そう感じるのか…。

ジャン自身分からないでいる。

分かること、それは…今が退屈だということだ。

アメリアの部屋に来ていることに

それ以外の理由はいらない。       

        

          

           



















「…っく……ぅ…」        

       

「泣くような夢とは…

お前はどんな夢を見ているんだ?」       

        

         

           



















ジャンがアメリアの部屋に入る頃

彼女はもう夢の中にいる。

だが、アメリアは決まって

眠りにつきながら涙を零している。



ルールであるから

涙の理由をジャンはアメリアに

幾度となく問うた。

しかし、夢を見つつ流す涙は

本人が意識していない時のこと。

アメリアは答えることができないでいた。



アメリア自身にもその理由がわからないからだ。



少なくとも、ジャンにはそう告げていた。       

        

           

          



















「夢というのは記憶に残るものと

残らないものがあるらしいが…

お前の場合明らかに嘘をついているだろう」       

        

            

        



















ジャンはアメリアの眠るすぐ横に周ると

ベッドへ腰かけた。

暫く涙を流すアメリアを見つめていたが

徐々に胸に痛みと苦しさが伴いだした。





今まで永遠に等しい悠久の時を

生きてきたジャンだが

こんな感情は経験も抱いたこともない。



唯の一度も。       

        

        

       




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