etc

□Unripe love
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「っ………何だ?これは…

はぁ…まったく、わけが分からん」        

        

「…ぁ………ン…」      

        

「…起きたのか?」       

        

「…はぁ…ジャ…ン…」      

        

「…アメリア?」        

        

        

       




















なおも涙を流し吐息混じりに漏らされた名前。

不意に呼ばれたジャンは

アメリアを覗き込むようにして問いかけた。

しかし、彼女はまだ覚醒していないらしく

ジャンの呼び掛けに返事はない。



ひたすらジャンの名前を呼び続けるアメリアが

震える右手をゆっくりと伸ばした。       

        

        

        



















「ゃ……い、かなぃ…で…

ジャ、ン……ジャン…」      

       


「………」      

       


「ひ、っく……ぃゃ…ふ、ぇ…ゃ、だ…」      

       

「…アメリア」      

       

        

       




















ジャンは伸ばされた手をとると

優しく包み込むように握った。      

すると彼女の手が縋るように

ジャンの手を握り締めた。       

僅かな力だが

ジャンは振り払うことができなかった。       

        

       

        



















「…アメリア」        

        

「…ぃ、やぁ…」       

        

「アメリア…起きろ、アメリア」        

        

        

         



















ジャンが語調を強めてアメリアに呼び掛けた。

すると、見開くようにして目を開けた。

肩で息をするアメリアは暫く呆然としていたが

しだいに意識がはっきりとしてきた。       

        

         

          



















「…はぁ…ぁ……ジャ、ン…?」       

         


「…気がついたか?」        

        


「…どうか…したん、ですか?」        

        

「どうかしたのはお前の方だろう?」      

        

        

         



















そう言うとジャンは、アメリアの頬を伝う涙を

その大きな掌でソッと優しく拭った。

そうされてアメリアは

ようやく自分が泣いていることに気がついた。      

        

        










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