Liberamente

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 ヲタク会話は日常茶飯事だった。
今日もいつもと変わらず昼休みに屋上で彩ちゃんと妄想会話を繰り広げる。

「今日はね、鋼の錬金術師!エド、かっこいいよね!!」
コミックスを手に熱く語り始める
『私は、ロイ派だよ!』
「わー、被らなくってよかった〜!!被ったらなんか気まずいよねえ〜!」
『うん。焼きもち焼いちゃいそうだよね!』

エドの身長がどう、アームストロングの髭の長さが・・・
キメラに練成されてしまったアレキサンダーとニーナの回が感動した話など
たんまり話した後に、彩ちゃんがふと何かを思いついたように口を開いた。

「もしさ、鋼錬の世界に行けたとしたらさ・・・桃ちゃんはどうする?」

『んー?
・・・ロイと結婚して幸せな生活を送る』
「わー・すごいものぶっこんできたわー」
『彩ちゃんは?』
「私はねー・・・・エドと旅がしたいな!!」
『そっちも夢があっていいじゃん!』

「あ、桃ちゃん。わたし、飲み物忘れてきた!教室に取ってくるね!」
『うん、いってらっしゃい!』
彩ちゃんが屋上から姿を消した。

 ひとっこ一人いない状態。
広くて澄み切った青さの空の下、
さっきの彩ちゃんとの会話を思いだす。
もし、鋼錬の世界に行けるとしたら・・・


突然目の前に真っ白な強い光が通りすぎた。


『これって・・・』
目の前には・・・・・あの鋼錬でしか見たことがない

”真理”が。

『・・・彩ちゃん、早く帰ってこないかなぁ・・・』
真理の扉に無意識に手が伸びたとき、
後ろから「桃ちゃん!」と叫び声が聞こえた気がした、けれど

気のせいじゃなかったみたいだ
 

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