てくてくてくてくあるいてく。

□まんまるにあいにゆくんだ。
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とことことことこ探検中。

もっと高いところはないかな?


塀の上。
赤い屋根の上。

あ、あっちのピンクの屋根の方が高いかな?


毎日、毎日、高いところ探し。



「よーぅ。今日はどこに行くんだい?」



陽気に話す真っ黒なそいつも、ぼくの友達なんだ。



「今日も高いところに行くんだよっ」

「お前も好きだねぇ」



ぼくは、ふと‥そいつがクチバシで繕っていた“それ”を、じぃーっと見つめた。



「ん? なんだ?」

「ぼくもそれ、欲しい」

「なんで」

「それがあれば、もっともっと高いところへ行けるだろ?」



バサバサと広げて見せてくれたそれは真っ黒で、意外とふかふかしていた。



「あっはっはっははっはっははっ――‥」



急に笑い始めたそいつは、そのふかふかでぼくを撫でる。



「お前には無理だよ」

「なんで?」

「種族が違うからさ」



種族が違う。

それだけで、ぼくにはあのふかふかがないのか。


こんなに、こんなに、
高いところが好きなのに。



「泣くなよ。今度、背中に乗せてやるからさ」

「ほんと?」

「ああ、約束だ」

「今日?」

「今日はダメだ。これから集会だからな」



橙色が滲んできた。

こいつら真っ黒な軍団は、いつもこのくらいの時間になると、夜が来るぞーって知らせてまわるんだ。



「わかった。じゃあ、また今度ね? 約束ね?」



するとそいつは、「カァーッ」ってひと鳴きで応えてくれた。


“あぁ、またなー”


そう言ってるんだよっ




 
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