BAND FEAVER!! (部活もの)
□序幕 ペーパープレイヤーAFG
1ﾍﾟｰｼﾞ/8ﾍﾟｰｼﾞ
―――俺はいつも、夢を追っていた。
遠くに浮かんだ浮島の蜃気楼へ向かって
船人が懸命に帆を走らせるように、
夢は常に俺の進む道の遠くに光っていて
まぶしい星のように俺を急き立てた。
でも…… 夢は所詮夢なのであって、
どんなに求めて手を伸ばしたところで
天に浮かぶ星を掴めないのと同じに
夢を掴むのもまた途方もなく無謀な話。
そんな泣き言を聞いて、すんなり諦められるような
陳腐なものなんて、まだ夢じゃないと思うんだ。
……それはただの“理想”でしかない。
頭の中に思い浮かべただけの理想像に、
伸ばした手が届くわけがないじゃないか。
そして、二度目の春が巡ってきたある日。
俺はまた一つ、“夢”を掴んだ。
誰にも否定されようがなく強固で一途な、
まさしく心躍るような夢を。
俺に訪れた大きな転機。 それは―――
+++