夢現そして無限たる夢幻(シリアス)

□Enivrez-Vous 〜“夢魔”と灰より立ち上がりし“聖女(サンドリヨン)〜
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―――くすくすくすくす……。














どんなに大切な思い出でも、
流れゆく時間の波には逆らえない。



“忘れない”



交わした言葉どおり、ひとつの記憶を
末長く心中に留めておくことは、
悲しいけれども不可能に近い。

その人間が現世に生きている限り、
いつかは巡り巡る歴史の渦に巻かれて
忘却の彼方に消え去ってしまうものだ。















しかし……

そんな当然の理を痛いほど知りながらも、
“約束”を結んだ記憶の片鱗は
叶わない再会を願って
届かない声を一心に上げ続ける。



自分を忘れないでほしい、
思い出してほしい、

そして―――



願わくば、その相手に自分のことを
永遠に覚えていてほしい、と。



















あまりにも純粋な、

しかしそれ故に叶えがたい切望。





完全に諦めきっていたその悲願を、
もしも実現させる手立てがあるとしたら……



消え去ってしまったはずの“夢”と
今なお現世に生きる“彼ら”の邂逅は、
いったいどんな“こころ”を
生み出すのだろうか。















―――くすくすくす……。















さぁ……
次は君だよ、“サンドリヨン”。





叶えたい夢が、

会いたい人が、居るんでしょう?










+++
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