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□絶対服従
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「赤也、ちょっといいかな?」
「部長!」
陽も暮れ始めた部活の終盤、何故かいつもより外周の多い仁王とブン太を見ていた赤也の背に声がかかる。
振り返れば、その柔らかな声音をそのまま顕した様な笑顔が映る。
「どうしたんスか?」
知らず赤也の表情が明るくなる。
僅かに赤らむ頬に、彼への尊敬に隠れた気持ちが見てとれる。
「終わったら部室で待ってて。一緒に帰ろう。」
「へっ・・・?」
「じゃあ後でね。」
何事もない様に微笑み去っていった幸村の背中を、赤也は呆然と見つめた。
急な言葉に様々な思いが溢れ、頭が追い付かない。
暫く立ち尽くしていれば何時ものように怒声が投げられ、漸く赤也はその場から動き出すことができた。