『ヘタレにっき。』

□ぜろ。
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 私は、みじめだ。
 外見ひとつとってもそうだ。今どき流行らないおさげ髪に、ごくごく普通の黒ぶちの眼鏡をして、黒目がちで大きいねってせっかく言ってもらえた目の下には醜いそばかすがあって、オマケにおばけみたいに青白い。そんでガリガリに痩せてつるっぺた。なんだか理科室の試験管のようで。こんなだもの、オシャレなんて出来ない。自分の体形とセンスに自信がないから、いつもTシャツかセーターにジーンズだ。学校が制服でよかったと思う。それでも、みんなのようにスカート丈を短くなんてとても。
 性格なんかもっとひどい。引っ込み思案で、あがり症で、人前に立つと冷や汗が出て動悸やめまいがして、頭が真っ白になって何一つ声が出ない。大して勉強も出来ない。通信票は五段階評価のいつも三ばかり。苦手なものがないだけで、得意なものがないのだ。ドジで容量が悪いから、みんなと同じことが出来るまでに大変な努力と時間を費やすことになる。学校の先生はそれを「熱心だ」と誤解するし、クラスメートは「いい子ぶっちゃって」と蔑む。でも違うんだ。みんなより頑張らないと、私は普通には生きていけないくらい、低能なだけなんだ。けど、いくら思ってもそれを口に出す勇気はない。
 こんな私は許せない。
 もっとかわいかったら、もっときれいだったら、もっとスタイルがよかったら、もっとおしゃべりで明るかったら。学校生活はどうなっていただろう。私にも、学校の友達が出来たかな。ううん、学童でだって出来たかもしれない。宿題やってるだけじゃなくて、みんなといろんな遊びが出来たかもしれないのに。
 と、毎日思わなきゃならないのだから、みじめだ。無いものねだりばっかりだもの。
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