記念物
□ルークの日
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朝から体が重くて頭がフラフラする。
だけど朝食を食べに食堂へと向かうルークは壁に寄り掛かりながら進んで行く。
すると前方に楽しそうに話しているクレスとロイドの2人の姿があった。
「よっ!ルークじゃないか」
「今から食堂に行こうとしてるんだけど、ルークも一緒にどうだい?」
ルークに気付いた2人は朝から元気だ。
いつもなら別に一緒に行ってもいいと言うのだが今日は正直、喋るのも面倒で首を横に振り『行かない』と示した。
(あー。頭振ったら余計にクラクラする)
もう朝食はいいから今日は寝てようと来た道を引き返す。
「ルーク?体調でも悪いのか?」
「なんかダルそうだけど…部屋まで送るよ」
心配する2人はルークの腕を肩に回す。そこで気付いたルークの体が異常までに熱い事に。
「―ッ!!体が熱いじゃないか!?ロイド医務室へ」
「大袈裟だ…っつーの!!寝れば治るから、部屋でいい!!」
どうしても医務室には行きたくないルークはクレスに駄目と言われたが薬をちゃんと飲むという条件で自室へ戻る事に納得してくれた。
本当は薬なんて飲みたくないけど…
クレス、ロイドのお陰で無事に部屋に着き、すぐにベッドに寝かせるが腹に何か入れないと薬は飲めない。
お粥を作ってくるかと話しているうちに寝てしまったルークに2人は静かに部屋を出た。
ルークが目覚めたのは夜中だった。
仲間はすでに寝ていて、ルークは静かにベッドから出る。目的はご飯。朝から何も食べていない為、クレスとロイドが持ってきた薬を飲んでいなかったルークは朝より重い体を支えて立つのがやっとだった。
(これじゃ…食堂にたどり着く前に倒れるかも)
でも何か食べないと…そう思って一歩進もうとしたが、やはり力のない手では支えきれず前へとバランスを崩す。
床にぶつかる!!そう思っていたが、いつになってもその衝撃はなく、むしろ何か暖かい別の物に包まれた。
「っぶねー。こんな夜中に何やってんだ?」
顔を上げればユーリがルークを支えていて、ユーリから退く事も出来ないルークは寄り掛かったまま咳をした。
「ッ!!お前体熱いぞ!?」
ユーリは、そう言ってルークを抱き上げ急いで医務室へと向かった。
だが今は時間が時間の為、医務室には誰もいない。
「とりあえず寝てろ!いまお粥作ってきてやっから」
そう言って出ていくユーリの後ろ姿を見つ、ユーリが数十分後お粥を手に戻ってきて、意識がはっきりしない俺にお粥を食べさせてくれた。
「ケホッ!」
「大丈夫か?薬飲むか?」
首を横に振り、熱で涙目の瞳をして頬を染めたルークがユーリを見る。
「もっと…ユーリ、ちょうだい」
「ッ//?!」
いつもツンツンしたルークも熱の所偽で子供みたいに甘えてきて、一瞬胸が高鳴る。しかも違う意味に聞こえた俺は変態か!?
内心焦るが顔に出ない体質でよかったと思う。
再びお粥を食べさせてあげるが小動物みたいで可愛い、抱き締めたいと思う気持ちを抑えながらお粥を食べ終わしたルークに薬を差し出す。
「…」
飲みたくないと顔で訴えてくるルークに良くならないぞっと渡すが、口に入れた瞬間、咳が出て薬が口から出てしまった。
「…後で恨むなよ」
そう言って薬をルークの口に入れ、ユーリは自分の口にお水を含み直ぐ様口移しでルークに水を移す。
少し口の端から水が零れるが水を移し終わりユーリはルークから離れた。
「ユー…リ」
いきなりの事にビックリしたルークは熱で赤い顔を更に赤くし、熱が上がりルークは気を失った。
ルークを再びベッドに寝かし、ルークの長い髪に手を添える。
「早く元気になれよ…いつものお前じゃないと、調子狂うんだよ」
額にキスを落とし部屋を後にした。
次の日、元気になったルークはユーリの部屋に来ていた。
「いつも胸元なんか開けてっから風邪なんか引くんだぜ」
何故か嬉しそうに寝込むユーリにお見舞いと高級メロンを置いた。
「ルークが治ったと思ったらユーリが風邪を引くなんて」
「あんたが風邪移したんじゃないの?」
エステルは心配そうにユーリにリンゴを剥いていて、リタがルークへと呆れた様に言った。
「俺のせいだって言うのかよ!?」
「風邪を移してしまう事でもしたのかしら」
楽しそうに言うジュディスに顔を真っ赤に『お、俺は…俺は悪くねー!!』と叫び部屋を出ていった。
周りがニヤニヤしながらユーリを見つめていた。これは何かあったなっという目で。
「自業自得ってやつね」