長編
□第1話
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あれから牢屋を出て、脱獄という状況で2人は、うろついている兵の目を盗みながら出口に向かっていた。しかし必ずしも目を盗めるわけもなく、剣を構えて戦う時もある。
長髪の青年は、戦い慣れをしていて剣の腕は兵よりもかなり上だった。
そして、朱毛の少年もかなりの剣の腕をしていたが兵と戦うたびに哀しげ瞳を見せては隙のない動きで兵を倒す。
「―ッと!!そういえば…まだ名前聞いてなかったよな?俺はユーリ、ユーリ・ローウェルだ」
ユーリと名乗る青年は最後の兵を倒した後、朱毛の少年に振り向く。ちょうど兵を倒し終わった所で息を吐いていた少年は肩をピクッっと動かしてユーリへと目を向けた。
「あっ、えーっと…俺は…」
…………!!
戸惑う少年の口をユーリは片手で塞ぐと、身を潜めながら自分達がいる場所から少し離れた場所に耳を傾けた。
「……どうやら追われてるのは俺らだけじゃなさそうだな」
そう真剣な瞳を壁から少し覗かせた先にいた少女に向いていて、口を塞がれた少年も覗く。
「お願いします!どうか行かせて下さい!!」
兵は2人に少女1人がなにやら言い合っていて少女は壁に追い込まれていた。明らかに少女に逃げ場がない…
朱髪の少年はユーリの手を払うと、剣を強く握り締めて勢い良く少女と兵の間に入った。
(あんのバカ!?)
ユーリは左手を額に当てておもいっきりため息を吐いた。