長編
□第2話
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エステルに先程の男について話す。
話すといってもルークを知っているという事しか知らないのだが…
「そうだったんですか…私、間が悪かったですね」
「そんな事ねーって。なんか意味の分からない男だったし。それにこんなに早く俺を知ってる奴にあったんだ!!他にも俺を知ってる奴が近くにいるだろーし」
気にするなと笑えばエステルもつられて笑う。
そんな2人を微笑みながら見るユーリは、男が消えた先を見つめ再びルークを見た。
ルークは前向きな考えだが、俺にはルークを知る人物は中々そう簡単には見つからない気がする。あの男のルークに対する態度、行動が普通にしてはおかしいからだ。
それにあの男はルークに記憶がない事に驚く事なく、むしろ記憶がない事を知っていた。
そういうば、会うのは初めてだか知っているって言ってたな…意味わかんねーぞ。
「よーし!!今から色んな人に俺を知ってるか聞いてくるな!」
「私も手伝います!!」
やる気になるのはいいんだが…
「目立つ行動はするなよ。なんせ…」
「分かってるって!!」
ユーリの言葉を最後まで聞かず、分かっていると言ってきた。
本当にわかってんのかね…
「…俺達は騎士に追われてんだがな」
溜め息を吐けば、2人を追いかけるユーリとラピード。
ユーリ達は下に下り、巨大な門に近づくと突然鐘が鳴り始める。
驚いて門を見れば、門の先から大量の魔物が迫ってきて、慌てて砦に入る人々がいた。
赤い髪の女性が矢を放つように言えば、騎士が魔物の群れに矢を放たれる。が、魔物の数には勝てない。
すかさず門を閉めようとするが、足をくじいて動けない青年と、泣きじゃくる女の子が残されている。
「ルークとエステルはここで………っておい!」
「私は男性の方に行きます!!」
「俺は女の子の方に!」
ユーリが言い終わる前に行動に出る2人にユーリは頼むから最後まで話を聞け!!っと内心呟いて2人の後を追った。
エステルが男性に治癒術をかければ再び立てた事に喜ぶ男性。
「もう大丈夫ですよ。早く避難して下さい」
男性はエステルにお辞儀をして砦に向かって走って行った。
そして男性とすれ違いにユーリが駆け寄る。
「エステルも早く避難してろ、ルークと女の子は任せな」
「はい!!」
ルークは女の子に駆け寄り、抱き抱えた。
「もう大丈夫だからな」
砦に向かうが、途中何かが落ちたように感じるルークは確かめようとしたが今は急いで女の子を安全な場所に連れて行く事にした。
「ルーク!!」
目の前にユーリが走ってくる。
「今ラピードが門を止めてくれている!急げ!!」
その言葉にナイスラピード!と心で言う。
そして女の子に目をやれば、ルークの後ろを見て泣きそうな顔をしていた。
今まで気づかなかったが女の子は何か呟いている。それも小さな声で…
「…お人形…ママの」
「―ッ!ユーリ」
「どうした?」
「この子頼む!!」
ユーリに女の子を預け、ルークは走る。
大量の魔物の群れに向かって…
「ルーク!?……くそっ!」
驚いたが、今は女の子が大事だとユーリは砦に向かう。
先程、何か落ちたと思った物は女の子の大事な
「あった!…お人形」
可愛らしお人形で、ルークは人形を持ち、再び砦に向かって走る。
後ろから迫る魔物を見れば先程は気づかなかったが、遥かに体の大きい魔物がいた。
「ユーリ――!!」
ユーリの名を大声で叫べば手に持っていた人形を思い切りユーリに向かって投げる。
それを受け取ったユーリは投げられた人形を見て、気づく。
「ルーク!!…エステルこれ頼むな」
「え!?ユーリ!」
人形をエステルに預けユーリは半分以上降ろされた門をくぐり砦の外へ行ってしまった。
「待って下さい!!」
「バウッ」
エステルが走り出すと同時にラピードがエステルを止めた。ここはユーリに任せろという事だろう。
「ユーリ、ルーク…」