紙束

□ヴォイス
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―――誰かに、呼ばれた気がした。





俺には、名を呼んでくれる人などいないはずなのに。



だけど、確かに聞こえた。



どこから声がしたんだろう。
すぐ横からのようで、空高くからのようで。



俺を呼ぶのは、誰?
俺のことを知っているのか?

そうだとしたら、教えてくれ。



―――俺は、誰を捜している?
















ずっと、ずっと昔のこと。
俺がまだ普通の子供だった頃。
俺の故郷は、壊れた。



俺はまだほんの子供で。
よく分からないうちに村が燃えてて、俺の恩人もいなくなって。
よく分からないうちに、みんな無くなってしまって。
立ち尽くす俺に残されたのは、凄惨な光景と、混乱する頭と、こぼれ落ちる涙と。



―――右手の、呪いと。






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