紙束

□ヒトリノ夜
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ある日、ふと気付いて愕然とした。

―――僕がやっていることは、ルカ・ブライトと何が違う?

武器を振るって、殺して。
勝利に湧く軍の真ん中で、笑顔で歓声を上げて。
足下の死者に気付きもしないで。

戦場で屍を踏みつけて、笑っている自分がそこにいた。



「僕は……!」

溢れてくる感情に窒息しそうになる。
胸を塞ぐ思いは言葉にならず、リオウは必死にもがいた。


これは、報いだ。
空っぽの正義を掲げたことへの。
その正義で名声を得たことへの。
守れなかった、ことへの。
自分への、報いだ。

顔を上げて、目の前に広がる草原を見た。
急に孤独感にさいなまれる。
思わず頭を巡らせて人影を探したが、そこには暗く闇夜が佇むばかり。

「ナナミ……?」

リオウの見開いた瞳に涙が溢れた。
歪んだ視界をきつく閉ざして、絞り出すように名を呼んだ。

「……ジョウイ…!」



どうしようもなく、涙が溢れた。



身を切るような静寂が痛かった。
溢れる涙をどうすることもできず、ただ声を殺して泣き続けた。




静かな、静かな闇の中。




end.
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