紙束

□鳥籠のトリ
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【side:T】



外に出られない。
そう言ったら、おこったかおでへやに引っぱりこまれた。

ぶたれるのかと思ったら、バサリとアタマから何かをかぶせられた。
びっくりして動けないでいると、

「体くらい自分で拭け」

そう言われて、やっとそれがタオルだと気づく。

タオルの下からうかがうと、ネスティはやっぱりおこったかおであたしを見ていた。
メガネのおくの目がこわくて、あたしはネスティを見ないようにわしゃわしゃとアタマをふいた。



「………外に出ようとしたのか?」

ネスティの声。
思ってたよりもやさしくて、少しほっとしてうなずいた。

「今までどこにいたんだ?」
「………木の上」
「なぜ?」
「………夜になって、だれもいなくなったら、外に出られると思ったの」



門番さえいなくなれば、外に出られると思ってた。
だけど、門番は夜になってもそこにいた。

「気がついたらまっくらで、雨もふってて。なのに、門のまえに人がいるの。外に出られないの」

どうしたらいいのか分からなくなって、あたしは雨の中立っていた。
体がつめたくなって、さむくなってきたころ、ネスティにきいてみようと思った。

ネスティはものしりだし、それに。



ネスティなら、あたしをたすけてくれるような気がした。


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