紙束
□そこにヒカリを見た
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ふと、彼の声がよみがえった。
『―――リュウ。昨日の約束、覚えてる?』
そう言った彼は、まっすぐに僕を見ていた。
僕の名を呼んで、いつもと同じように、まっすぐに。
『僕はどんなことがあってもリュウを信じてる。だから、嘘だけはつかないでほしいんだよ』
彼の目には不安も迷いもなかった。
逸らすこともごまかすこともせずに、いつだってまっすぐに僕を見ていた。
(………キュウ。)
いつだって僕を信じてくれた、あの目。
目を開く。
辺りは相変わらず暗く冷たい。
けど肩の震えはとまっていた。
彼はきっと今も僕を信じている。
微塵も疑うことなく、あのまっすぐな目で真実を探している。
他のみんなだって、きっと。
(―――だったら、)
僕が諦めるわけにはいかない。
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