Black Moon
□I think...
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「カイトぉ」
「ん?」
「嬉しそうだねェ?」
「そうか?」
「うん。すごォく」
「…」
ゴンとは昨日別れた。
思わぬ収穫ありでボクらはジンさんに一歩だけ近づいたカンジがする。
でもそれは長い道のりのほんの小さな進みでしかないのかもしれない…
しかし、今回の旅はとても価値のある旅であった。
「もう、そろそろだね」
「あぁ。もう、そろそろだ」
思わず語尾に力が入る。
ジンさんにもうすぐ会える。
強い潮風に顔を打たれながら前を見据えた。
大海原が見えるだけのことと同じ様にジンさんは霧の中に隠れている。
どちらも変化はない。
しかし行き進めば何かしら変化はある。
ボクらはそう信じて歩を進めるしかない。
「頑張ろうね」
「もちろん」
ジンさんまであともう少し。
待ち遠しくて堪らない。