ZEDの旅

□炎の振り子
1ページ/2ページ

ゼッドはノアを追って不毛の土地、ヘキドルを歩いていた


ゼッドは少し険しい顔をしていた

あの青い少女は『魔物』そのものだった

普段の青い少女は美しく男を惑わす




しかし真夜中の月がおぼろに欠けてきたとき―・・・



彼女は牛になるのだ


ゼッドが倒した牛とは比べにもならない程の大きさの牛に―・・・

今ではこの牛をケンタウロス、あるいはミノタウロスという



そう、この魔物が青い少女にとりついていたのだ


だからゼッドは青い少女を見張っていた


この手で青い少女を救う為に

恐らくノアは気づいている

だから、あえて僕を一人にしたんだ


おかげで、あっちも信じてくれた

青い少女が残した言葉は

『ありがとう』だった




それが胸に突き刺さる・・・





そんな事をゼッドは考えていた

足は黙々と進んでいる

「・・・!・・・ダレ?」

不毛の土地にも草が生えていた

ゼッドよりは背の高くない草だ


でもゼッドの肩程までの高さはある


「私だよ、ゼッド」

『わたし』??

「??」

「私、ノア」

「何だ、ノアか・・・」

少しビクついてしまった

誰か違う知らない奴かと思ってしまった

僕達の周りでは僕達が世界を一つにしようとすることについて快く思わない人達もいあるから・・・てっきり・・・


ノアは草むらから出てきた

いつものパーカー

いつもと変わらない

だけど、この時、僕は胸騒ぎがした

どうしてと言われると上手く説明できないけど、そんな感じがしたんだ


「突っ立ってないで今日はここで野宿しようよ。もう夜だ」

「え、あ、うん」


珍しいな

ノアが自分から休もうなんて言うなんて


「ねぇゼッド」

「何?」

「あの青い子と何してたの?」

ノアが険しい顔で聞いてきた

「何って・・・う〜ん・・・魔物退治」

それ以外、どう言えば良いのか分からなかった

『遊んでた』?

ダメ、ノアを怒らせちゃう

絶対にダメ

何でかよく分からないけどノアを困らせたくない


んじゃ、『おしゃべりしてた』?

あの子とは実際、何もしてないしな―・・・


「た・い・じ?」

「そう」

ノアは何かピリピリする空気を放ってる

しかも時間が経てば経つ程、穴が開くくらい僕を見つめてる―・・・!


「分かった・・・もういいわ。寝ましょう」

こうしてノアから解放された
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ