novel

□守護者伝説 結
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リオンが目を覚めてから、
場は和やかなムードになっていた。


リオンが…こんな風に笑うのは、初めてのことだったからだ。


そのリオンが、今度は真剣な表情になり口を開く。


「なぁ」

その呼びかけに、皆が一斉にこちらを向いた。


「この国の王に会うことって…できるか?」


「王に?」

聞き返したのはピアナ。


するとザークが、顎に手を持ってきて何か考え始めた。

朝日が窓から零れ、
部屋の中が明るく照らされる。


「難しいが…会えるんじゃないのか?とりあえず、城がある四階に行ってみなきゃわかんねぇよ」

「そう…だな…」


リオンがしゅん…とうなだれる。


その重い空気を打破するように、リフィーが口を開いた。


「とにかく、行ってみましょうよ!!ね、イーグル♪」

「え…あ…はい!!」

リフィーに振られ、イーグルは話を合わせるように返事をする。


その言葉を聞くと、
リオンはいつものジャケットを着始めた。


「そうと決まったら行くぞ」

「…動いて大丈夫なの?」

ユルカが心配そうな顔で
リオンに問いかける。


「大丈夫だろ。問題な…」

そう言った途端に激痛が走り、リオンは顔をしかめる。


「ほら見ろ」

ザークがリオンの元に歩み寄り、簡単な治癒魔法を唱えた。


「すまない…」

「いいってことよ。んじゃ、行くか!」

ザークのその一言を合図に、
皆、こっくりと頷き、
王城へ向かって歩み出した。


















4階、王城…

インティカとは違い、その厳かな雰囲気を保つ場所に、ライトたちは足を踏み入れた。


辺りはシーンとしていて、
音を立てるだけでも怒号が飛んできそうだ。



「ライト…ここ、怖い…」

ネルが、心配そうにライトの服をきゅっと握っている。


そんな彼女の頭を、ライトは優しく撫でた。


そんな中を歩いていた時、
豪華に彩られた一枚の扉の前に辿り着いた。


ゆっくりと、その扉を押し開ける。



すると、40代位の女性が、奥に座っていた。


あれがミレット王だろう。

女王、ということには驚いたが、その女性は物腰も柔らかそうで、年を感じさせない若さを持っている。




するとミレット王が、
ゆっくりと立ち上がった。


「私に何か用ですか?」

その口調は穏やかで、
まるで女神のようだった。


リオンがごくりと唾を飲み込んで口を開く。


「王剣について…教えてほしいのです」

王の前というだけあって、
いつもの毒舌は影を潜めている。


すると女王の目が、
ゆっくりと見開かれた。


「…もしや貴方は、リオン・ツェーン・ファクトリナですか?」


「! 何故オレの名を……」


リオンが驚きを隠せずにいると、女王はふっ…と優しく微笑んだ。


「王剣はね…代々光の王に見定められた人間に継がれるものなの。そしてその人間は、セカンドネームがあり、それが数字を表している。
Z(ツェーン)は10代目。
そして…最後の代よ…」


「!!!」


リオンが、息を飲んだ。

衝撃が彼の背を走る。



「最後の………」

「ええ。貴方が光の王を守りきった時…王剣は只の魔法剣に変わる。否…戻る。
貴方にはその力が…資格がある。貴方が守りたいと思う方は、誰ですか?」


女王のその問いかけに、
リオンは一呼吸置いて返答した。


「仲間たちを…ネルを守りたい」


「なるほど」


そう言うと、女王はこちらへ向かってすっと歩き出した。



「ならばその方を守りなさい…貴方にはその力がある」


女王の手が光り、それがリオンに向けられて放たれる。

彼はそれを王剣で受け止めると、王剣が…輝きだした。


「これは………?」

「王剣の力を最大にしたのよ」

女王はそう言うと、
次に仲間たちを見渡した。


目が合う度に、誰もが顔を背ける。


そして彼女の目にネルが止まると、彼女を見つめる。


「この娘ね…王剣が守りたいのは」

彼女はそう言うと、ライトたちにこう言った。


「すべての準備が整ったら、再びここへ来なさい…貴方たちが行きたい場所へ、連れて行ってあげるわ」
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