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□昼下がりの待ち合わせ (ハートキャッチ)
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真夏の昼下がりは、当たり前だがとても暑い。

太陽は遠慮というものを知らず、そこから注がれた光はアスファルトを焼き、地面は沸騰し熱を沸かしていた。

おかげで、キャミソールに短いパンツを重ねているというのに、汗が体中から湧き出ており、水分補給をしなければとてもじゃないが体がもたない。

彼女は、同学年の友達2人と、高校2年の頼れる先輩と遊ぶということで、待ち合わせ時間より10分前には到着していた。

彼女はパッと見男と見紛ってしまうような栗色のショートカットだったが、上下共にフリルのついた可愛らしい服を着ていたため、流石に性別を間違える人はいなかった。

彼女の名前は明堂院いつき。

私立明堂院学園中等部の生徒会長であり、武道を嗜んでいる文武両道の女子中学生だ。


「早く着きすぎたかなぁ…」

腕時計に目をやりながら、なんて独り言を言ってみたが、それは人混みにかき消された。

70%寝坊して遅刻しそうなえりかはともかく、時間に厳しそうなゆりさん、逆に慌てすぎて30分くらい前に到着しそうなつぼみがまだ来ていないのは若干の不安があった。


ふぅ、とため息をひとつ。

ここに砂漠の使徒がデザトリアンでも放てば、こんな衆人の中派手に変身して戦わなければいけないんだろうな、と、炎天下に虚空を見つめながら、いつきはそう思っていた。

じりじりと照りつける太陽は、自分の変身後のモチーフを表すように、金色に、美しく輝いていた。



「お、お待たせしました〜」

その時、目の前には、かなり慌てていたのだろう、寝癖が隠しきれていないつぼみと、母譲りのカールした天然パーマを上にひとつで結ったえりか、さらには眼鏡をはずしたゆりさんがいた。

「いんやぁ〜つぼみが寝坊しちゃってねぇ」

「あうう…不甲斐ないです…」

えりかは気にしてないようでけらけらと笑い飛ばしていたが、当の本人であるつぼみは頭を90度に下げる。

「でさぁ、ゆりさんと途中で出くわしたから、そのままここに来た、ってわけ」

大げさに身振り手振りをして状況を説明するえりか。

ゆりさんは苦笑いを噛みしめながら、いつもの水色のピンの代わりにつけたイルカ模様のバレッタを太陽に輝かせる。

いつきが目配せすると、ゆりさんはそれに気づいたように

「これ?可愛かったから、つい…買ってしまったの。おかげで遅れてしまったわ。ごめんなさいね」

「いや…僕も、ついさっき来たばかりですから」

「よぉっし、じゃあ、早速遊びに出っかけよーう!」

えりかが蒼天に拳をひとつ突き出す。

4人は、仲良く揃って歩き出した。
 

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