色々

□ミギメ (完)
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「・・・いてぇ」

彼――百目鬼静は柱にぶつけた頭を押さえて呟いた。

普段ならこんな風にぶつけることは決して無いの彼なのだが…
つい三十分程前にとある理由で右目の視力を大幅に失い、その為目が慣れずこうして至る所に体をぶつけてしまっているのだ。

「・・・・・・」

やっとの事で辿り着いた縁側に腰かけ雲がかかった月を見上げる。
左目を手で隠し辺りをゆっくりと見回すと、庭にあるすべてのモノがぼやけて見える。
だが、こんなものすぐに慣れるだろうと頭の隅で自己完結した。彼にとって視力の低下など、さして大きな問題では無いのだ。
ゆっくりと瞼を落とし気持ちを落ち着かせる。

「四月一日・・・」

月明かりの少ない縁側で静かに想い人の名を呟き無事を願う。







大切なヒトを待つ事は

果敢無く
もどかしく

そして何より哀しい 


無事を願い待つ事しか出来ないのだから

傍に行き守ってやる事さえ出来ないのだから


自分に出来る事は限られている

そう、出来ない事の方が多いのだ

だから、出来る事を精一杯やる

信じて待つ



何時か絶対に強くなる

そう心に決めたなら

今出来る事を精一杯やる事から始めるのだ



傷付けさせたくない

大事なモノを護る為に―――






                          -END-
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