【 夕焼けラビリンス 】
□【ナゾ000:プロローグ】
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曇り空であろうとも、人々の行き来で賑わうココは、イギリスのロンドン。
今日も今日とて、何事も無く、平和な1日になりそう―。
女性「きゃああー!
引ったくりよー!
誰か、誰か捕まえてちょうだーい!」
―と思ったら、どうやら事件が起きてしまったようだ。
若い女性の叫び声が、辺りに高々と響き渡る。
黒服を着た体格の良い男が、高級そうな鞄を抱えて、人々の間を擦(す)り抜けていっていた。
突然の出来事のせいか、何も出来ずに狼狽(うろた)える、ロンドンの住民達。
それでも「どうにかしないと」と、ある人は警察を呼びに行き、ある人はそのまま犯人を追いかける。
しかし、犯人は体格の割に素早く、誰も彼を止められないでいた。
曲がり角を使われ、犯人に逃げられそうになった、その時―!
?「«縛れ[インカーセラス]»!」
何処(どこ)かで、別の女性の、不思議な叫び声が聞こえた―…。
住民(男)「はぁ、はぁ…くそっ、逃げられたか…」
曲がり角まで追いついた1人の男が、膝を屈(かが)めて呼吸を整える。
犯人の姿は、残念ながら見失ってしまったことだろう…。
住民の男は、そんな事を思いながら、視線を曲がり角の先に移してみた。
しかし、ソコにあったのは―。
住民(男)「!?―なっ…どういう事だ?」
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