船の甲板で、○○は潮風に吹かれていた。 そして、無理を言ってでも連れてきてもらってよかったと思っていた。 病弱な○○は基本的に家から出ない。布団の中で過ごすことがほとんどで、変わりばえのしない毎日に飽き飽きしていた。 国主であり海賊であり、○○の幼馴染みの元親は、風貌は昔とは大分変わってしまったが彼女に対する優しさは健在で、「海に出てみたい」と言った彼女を船に乗せてやった。 「あんま無理すんなよ」 船室から出てきた元親は##NAME##を気遣い、隣に立って肩を抱いた。 「うん、わかってるよ」 ##NAME##は元親によりかかって、真っ赤な夕陽を見ながら彼の体温を感じていた。 温かくて、幸せに包み込まれるような不思議な感覚に##NAME##は安心する。 「綺麗だろ、太陽が沈んでくの」 「うん、凄く綺麗」 「まぁ○○には負けるけどな」 そう言うと無邪気な子供のような笑みを○○に向ける元親。○○は照れ笑いを浮かべて、視線を元親から夕日に戻した。 「ありがとう」 「なにがだ?」 「ワガママ聞いてくれて」 「気分転換も必要だろ」 「うん」 夕日は完全に沈みかけて、夕闇があたりを包む。元親は○○の髪を撫でて優しく微笑みかけた。 「早く良くなれよ?」 「どうかな、私にはわかんない。元親がお姫様の時からこんなんだもん」 「お姫様言うな。でも、まぁ、治らねー病気じゃねぇんだからよ」 「うん、頑張るよ」 ○○は深呼吸してから、伸びをして「帰ろうか」と言った彼女を、元親は強く抱きしめた。 「元親…?」 「俺がお前を嫁に貰う」 「え?」 唐突過ぎる元親の言葉に○○は彼の腕の中で硬直した。 「だから早く元気になれよ。俺の嫁は、俺の宝探しについて来なきゃならねぇ」 な?と言って○○を離すと、彼女はうつむいてただ涙を流していた。 「おいっ」 「元親っ…私、頑張るからっ…うんっ…」 「わーったから泣くな泣くな」 「嬉し泣きだもんっ」 あわてふためく元親の胸に飛び込んで、○○は幸福を噛み締めた。 君と俺と (私、お姫様のお姫様になるんだね) (だからお姫様言うなって) |