inside of a glass

□Melon Ball
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一回一回が、試合のような感覚でいるのだとしたら、さぞ悔しいのかもしれない。

「どうしよう…」

わたしは、インターネットの画面を半ば睨み付けるようにして思案していた。


『名前さんをイカせられなかった』


そう言って分かりやすく拗ねた表情。
現実は、なかなかそういう動画のようにはいかないものだ。

それに、そういうものに入れ知恵されているせいだろうが、女にとって本当に重要なのはそこではない。そうなるまでのムードとか、最中の過程とか、その他諸々だったりする。それに、世の中の女性の半数がそういう「気持ちいい」が分からないのが現実なのだ。

相性だったり、経験もあるとは思う。
とはいえ、実際問題、わたしたちふたりが数を重ねようとするのは無理がある。

正直、わたしは結弦さえ気持ちよくなってくれれば良いと思っている。震える身体を抱き締めているのが何より幸せだ。わたしも気持ちよくないわけではないけれど、目の前が弾けるようなところまでは、なかなかそこは女性のデリケートな所で、その日のモチベーションだったり体調によって左右される。

そこまで考えた結果。

自分磨きしかない、が結論だ。

相手に変わってもらうのは難しいけれど、自分が変わる努力をするのはまだ容易い。

そうして、何を買うかを考える『どうしよう』になったわけだ。

このサイトで買い物をするのは久しぶりで、安心感があるが、それを買うのはやっぱり少し躊躇われる。

やっぱりコレがいいかなと、定番のものをカートに投入。
それから、昔使っていた唇専用美容液や肌のさわり心地が良くなるジェルなどを一緒に入れてオーダーした。



その二日後の夜。



届いた段ボールからそれらを取り出す。
美容液の香りを確かめたりしているうちに、以前はこれらに助けられて努力した頃が思い出されてまた頑張ろうと言う気になってきた。最後に取り出した感度を上げるためのそれをじっと眺めた後。それを手にベッドに潜り込んだら、わたしとそれの初対面を果たした。


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