Short
□M-1
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真夜中。
昼夜出来る限り規則正しい生活を心掛けるようになった私だが、今夜は仕事が押してしまった。
リビングもダイニングも明かりは落とされて、静まりかえっている。こんな疲れた気分の時は、癒やしが欲しい。そんな風に想うこと自体が、以前の私からすれば大変贅沢なものなのだ。
何かを口にする気にもならず、ブランデーとその近くにあったクラッカーを少しばかりかじった。
マンハッタンの夜景。
それを見下ろしながら、暫くぼんやりとした。
シャワーを浴び、疲れ切った躯で向かった、寝室で。
ベッドの上に、私は眠り姫を見つけた。
クイーンサイズのベッドは、彼女が寝ても隣に十二分にスペースがある。
傍に寄ると規則正しい寝息が聞こえる。
やっと寝顔を見せてくれるようになった愛しい人は、時折、こうして私の寝室にやってくる。
起こしてしまわない様に、そっと隣に身を横たえた。
そっと頬に触れ、髪を梳く。軽く握られた手をとって、その手を包み込むと無意識にきゅっと握り返してくる手が愛しかった。
いつの間にか、癒されている。
重ねた手に口付けを一つ落とすと、私は眠りに落ちていった。
目覚めたらやっぱり傍に彼女がいてくれるように祈りながら…。
***
M部屋より。