いちじのおはなし
□取り残された姉と、死にぞこなった妹
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《風花》
授業は淡々と進み、昼休憩の教室。
いつも通り私の周りには数人のクラスメイトの女子達が集まって弁当や購買で買ってきたパンなどを口にしている。
「体育の長距離、めんどかったねー」
「マジ疲れたー。んなもん体力有り余ってる男子だけ走らせとけよってかんじじゃない?」
「ねー、余計なもんも発散出来てちょうどよさそーだし」
そんなお世辞にも上品とは言えない話で笑っている。
正直こういった雰囲気は好きではないけど、郷に入っては郷に従えとも言うし、仕方がない。
「でも相変わらず風花はすごかったよねー」
話が自分に飛んできたのでサンドイッチに向けていた顔をあげる。
「全然平気そうな顔して走ってんのに陸上部の奴等よりもタイムよかったもんねー」
三時間目の体育の長距離走、私はクラスメイトの中で陸上部所属の女子三人を抜かしてトップのタイムを記録していた。
「まあ、運動は苦手じゃないし」
そう返すと、苦手なもんなんてあるの? と言われた。
正直、世間一般的なことで思い至る物はなかった。