いちじのおはなし

□ほっとけなかった
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《和泉》



 入学早々、季咲風花はとても目立っていた。

 新入生代表を務めた上、入学早々行われた実力テストもほぼ満点で学年一位。

 体力テストでさえ、女子の上位を記録したらしい。

 おまけに美人だってんだから男にモテそうなものだけど、逆に近付きづらいっつーか、俺なんかじゃ駄目だろ、って告白する前から諦める奴がほとんどだった。

 それでも無謀にも突撃した奴も何人かいたけど、全員玉砕した。

 俺は中学の頃からそれなりに女子にモテて、自分に自信もあったし、季咲のこともいい女だと思ったけど、告白するつもりとかはなかった。

 同じクラスになった俺は、なんとなく季咲が人と深く関わることを避けていることに気付いていたからだ。

 笑って話をしていても、本当には笑っていない。

 それが見ていてわかったから、自分から関わるつもりもなかった。

 だけど、ある日。

 放課後教室に忘れ物を取りに戻ると、夕焼けが差し込む教室にぽつんと一人、季咲がいた。
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