名夏、置き場

□『恋心。』
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 夏目の声は、同じ年頃の少年と比べると少し高めで甘い。

 最近は、余計にそう思える。

「夏目…」

 名を呼ぶと、けだるげな雰囲気を纏って夏目は振り返った。

 名取のベッドの中で、恥ずかしそうに上掛けに潜りながらする上目使いは、堪らなく可愛いらしく。

「な…とり…さん」

「喉、痛めたかな? かすれてしまったね」

 目立たない喉仏の辺りを触ると、夏目は擽ったそうに身を竦めた。

 制服の襟ギリギリの位置に、色濃く付けた痕。気付いた夏目は、どんな顔をするだろうか。

 まだ子供だと思っていた少年に、昨夜、衝動的に手を出してしまった。

 焦っていたのかもしれない。

 早く手に入れなければ、誰かに奪われそうな焦燥があったから。

「ん…」

 まだ身体に感覚が残っているのか頬に触れると、夏目は鼻にかかった声を漏らした。

 最中を思い出させる、悩ましさで。

 再び込み上げる衝動に、名取は夏目の唇を唐突に奪う。

「…ぅ…ふ」

 何故だか夏目は、全てを見せ合って尚、腕を突っ張って小さな抵抗を見せた。

 そのせいで、大人気なくムキになったのだ。
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