名夏、置き場
□『仲直りの方法』
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喧嘩をした。
些細な事だった。だって夏目は、理由を覚えていない。
ただ、解り合えない事に無償に腹が立って。まるで子供の、わがままみたいだ。
コンコンと、何かが窓を叩く。
時刻は遅くないけれど、冬が間近な今頃は、外はもう夜と変わらない暗さだ。
こんな時に妖怪かと思うと、苛々した。親切に、名前を返したい気分じゃない。
だから無視していると、また。
コンコンコン。催促のつもりか、さっきより一回多いのが、また神経に障る。
「なんだよ、もうっ」
忌々しく思いながら、窓を開けた。
「!」
そこには、見覚えのある紙人形。闇に浮かび上がり、不気味な白さだ。
けれど夏目は、無造作に鷲掴む。
『夏目』
それには一言、そうあった。そして、あっという間に燃えがる。
「あつッ」
そして、再び現れた紙人形は、夏目の額にパシッと当たる。
「なんだよ、もう!」
『まだ怒ってるか』
手にしたそれに、書いてあった言葉。
けれど、また燃えてしまう。