Novel
□微睡む新月
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───そう、同じ。
魁斗が塔子さんという女(ヒト)を気にかけることと、この感情。
確かに同じものだと、今なら判る。
微睡む新月
───おかしいとは、思ってた。
最近電話してもそっけないし、逢いたいってねだっても応えてくれることが少なくなった。
だけど、それってあたし自身がいけないんだ、って思っちゃったの。
………わけなんてない。
だって、善くも悪くも女ってそういう生き物。
─────ぴちゃん………。
額に冷たいものが落ちて来て、急に意識が浮上する。
「……………ごめんなさい、起こしてしまいましたか?」
乾いてしまった瞳が視界を遮り、目を開けられない。
美月は苦し紛れに手の甲で軽く目元を擦ると、声のした方に視線を投げ掛けた。
するとそこにいたのは艶やかな黒髪の、着物を着た女性。
歳は自分と同じくらいだろうか。
美月は目元の陰りが綺麗な女(ヒト)だな、と思った。