SHORT

□ボンゴレ式修学旅行 Varia ver.2
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「ちょっと!
みんな、右見て!」
「んー?」
「ぬっ!」
「ゔお゙ぉい!
あれが瀬戸内海国立公園かぁ。綺麗じゃねぇかぁ

…………って、

さっきよりせめえ゙ぇえい!!
ベル、てめぇ何で助手席一人で使ってんだぁ!?」
「ししっ。だってオレ、王子だもん。
狭いところなんていられねーよ」
「それよりも、レヴィ。
貴方まだ運転出来る?」
「ボスの為ならいくらでも………!!」
「まあ!!
愛って凄いわぁ〜〜〜〜」
「『それよりも』ってなんだぁ!!
他人事にしやがって!!」

Variaがアジトを発って数時間経った。
 福岡の観光地を車から眺め回す一同だったが、未だ一度も車から降りていない。
 しかし流石はVaria、自分が座る場所を2時間程前から、着々と確保し始めた。

「だって他人事じゃないの」
「しししっ、だよな」

 ベルは助手席に座り、自分の周りにワイヤーを張り巡らせて、誰も近づけないようにしている。
 ルッスーリアは自分でエリアを決めて、少しでもそれを侵す者には鋼の蹴りをいれることにした。

 完全に乗り遅れたのはスクアーロだ。
 二人の間で縮こまることしかできない。

 レヴィはというと、運転席のスペースを半分程スクアーロに奪われてしまっていた。
 更に、スクアーロとかなり近いので、引っ切りなしにわめき立てる声を大音量で聞かねばならなかった。
 普通ならストレスで心が折れるが、疲労した様子すら微塵も見せない。
 それどころか、バックミラー越しに熱い視線を我等が頭目に送っている。

「……はぁー……っ……ん」

レヴィの熱意を受け流し、XANXUSは欠伸をした。シートに寝そべり、景色を眺めている。
 退屈そうに見えるが、拳が飛んで来ないので、不機嫌になる程ではないらしい。
ただ、それが分かっていても
幹部達はどぎまぎした。いつこの男が爆発を起こすかなど予測出来ないからだ。

「も、もっとおもしれー場所はないのかよ……!?」

 ベルは観光ガイドを持っているルッスーリアに囁いた。

「ん〜〜〜〜。博多どんたくがあれば良かったのにねぇ」
「ゔ、ゔお゙ぉい……
さっさと探せぇ…………」

ルッスーリアはパラパラとガイドを眺めるが、浮かない顔をしている。

「公園しかないわね」
「んなわけねぇだっ……」
「おい」

XANXUSの唇が動いた瞬間、車内の空気が凍りついた。
シートから身を起こしたXANXUSは運転座席を蹴った。

「喉が渇いたぞ」
「は……はいっ!!
ウィスキーですか!? それとも……」
「麦茶」

レヴィはリムジンを停車すると、トランクからクーラーボックスとグラスを出した。
 クーラーボックスの中には様々な飲料が入っていた。

「どうぞ」

グラスに麦茶を注いで渡すと、XANXUSは無言で受け取り、飲み干した。

 白人こそ最も優れた人種だ、と目茶苦茶な事を思っているXANXUSは日本が大嫌いだが、ここ一番感化されてるのは正に彼だ。
 なんやかんやで日本が好きなのだろう。
 和牛も美味しいし。

「未だいりますか……?」
「いらねぇ」

XANXUSはレヴィにグラスを返した。
気づけばスクアーロとルッスーリアとベルがいない。
どうやら外に出て伸びをしているらしい。

「……レヴィ」
「はい」
「それ、寄越せ」

XANXUSは身を乗り出して、前座席に残された『それ』を指差した。

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