SHORT

□ボンゴレ式修学旅行 Varia ver.3
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福岡の空が赤くなった。
その赤の下で、XANXUSの命令に従い、レヴィはひたすらに車を走らせていた。

「次。アジアマンスに行け」
「はいっ」
「も……、もういいじゃないの、ボス……」
「うるせぇ」
「てめぇのせいだろーがぁ!!
ルッスーリアァ!!
ボスにガイド取られやがって!!」
「仕方ないじゃないの!!
いくらなんでも、ガイド持ったまま外に伸びしに行かないわよ!」
「るせぇっ、ドカス共」

スクアーロとルッスーリアの会話から分かるように、XANXUSはガイドを手にし、レヴィに指示していた。
 数時間前、ルッスーリア達が外に伸びをしに出た時、ガイドを奪ったのだ。

 ただ観光地を見てまわるのならいいのだが、XANXUSは観光地で鬼のように土産を買う。
 猛スピードであちこちに行くので土産はあっという間にトランクにも入らない量まで膨れ上がった。
 残りの土産を入れる場所は、自ずからスクアーロ達が乗っている前座席となり、車内の環境は悪くなっていく一方である。

 更に狭くなった上に、土産がひっくり返らないように気を配らなければならないので、XANXUS以外はクタクタだった。

 ベルもルッスーリアも、もう自分のスペースの確保が出来なくなっている。

「ぐぇっ!!」

 右折した瞬間、スクアーロは箱に頭を強打し悲鳴を上げた。
 これ以上土産を買われるのはまずい。
 土産に潰される。

「……あ……そろそろ泊まるホテル探さね?
日が暮れると込むしさ……」
「そ、そうだっ!!
そうしたほうがいいよなぁ!!」
「…………好きにしろ」

 ベルの案にXANXUSは折れ、目を閉じた。
ならホテルを探そう、とスクアーロが暫く窓の外を見回すが、それらしき建物は見当たらない。

「見つからねぇぞぉ……」
「ちょっとボス〜。
ガイド返して欲しいんだけど…………あら、もう寝てるわ」

先程まで偉そうにしていた頭領は、既に眠っていた。時間にしてみればおよそ3分。
 ガイドをがっちり握ってるので取り返せない。


「早ぇ…………自力で探すしかねぇのかぁ…………」
「みたいね……」

そのまま走り続ける事、10分。

「ゔぉっ、あったぞぉ!!」

 スクアーロが『旅館』という文字の入った建物を見つけた。

「ホテルじゃなくね?」
「旅館もホテルも一緒のようなもんだろーが!!
ゔお゙ぉい、レヴィ!
右曲がれぇ!」


更に数分後。
 リムジンは、その旅館にたどり着いた。
 XANXUSを除く一同は、看板をガラス越しに見た。
 漢字で七文字、何か書かれてある。

 しかしよく読めない。

 スクアーロ達はなんとかして車内から出ると、看板に近づいてた。

「何、あれ」
「……?
温泉旅館しか分からねぇ……。始めの三文字は地名かぁ?」
「ぬっ!!」
「どうしたの、レヴィ」
「始めの三文字を普通に読めば…………
『ボンゴレ』になる思ったが……」

一瞬間が開いた。

「し、ししっ。
そんなわけない……、じゃん?」
「いくら……ボンゴレが力持ってるとしてもね〜…………」
「まさか……なぁ…………流石に旅館は経営しねぇだろぉ……マフィア関係ねぇし……」
「ぬぅ……」
「とりあえず、入るか」

スクアーロは旅館の扉を開けた。

「ゔぉ゙おい!!
誰かいねぇのかぁ!?」

中を見回すが、誰も来ない。
 更に声を荒げようとしたその時、一人の女が姿を現した。

「遅くなり申し訳ございません。
ようこそお出でなさいました」

 何処かで見たような女だったが、スクアーロには思い出せなかった。
 結局、恐らくこの旅館も、女もボンゴレには関係ないだろうと判断した。

「ここはいい肉使った料理、出るかぁ?」
「はい。最高級の肉を使用したものが」
「ならいいか」

とにもかくにも、スクアーロ達はそこで泊まることにした。
 あまり旅館選びに時間を掛けていると、誰かさんが怒り出すかもしれないからだ。

「カス鮫……」

 その誰かさんが顔を出した。若干、眠そうだ。

「てめぇ、起きたのか……」
「此処で泊まるつもりか」
「お゙ぉ」
「肉は」
「出る。いい肉らしい」
「ハッ」

XANXUSは眠気を飛ばし、薄く笑った。

「ならいいか」

先程スクアーロが放った言葉を吐くと、すたすたと旅館に上がり、勝手に適当な部屋に入ってしまった。

「ゴルァ!!
受付済ませてから入りやがれぇ!!
靴をちゃんと脱げぇ!!
もっかい寝ようとすんなぁ!!
……ゔぉっ!?
旅館の物を投げるごふぁっ!!」



「泊まるのは五人だ」
「ししし」
「あ、そうだわ。
夜ご飯は何時からなの?」
「6時半からです」

XANXUSを追って、旅館内に乗り込んだスクアーロも靴を脱いでいないが、Variaの幹部三人は敢えて突っ込まずに受付を済ませた。
 女も動じなかった。

















Variaが全員部屋の中に入ると、ビアンキは胸を撫で下ろした。

「はひ……やっぱりデンジャラスな人達です〜〜」

物陰から、隠れていたハルと京子も出てきた。

「泊めても大丈夫だったんですか?
ツナ君も来るみたいですけど…………」
「でも断るわけにもいかなかったわ。それに………………
リボーンにも了承は取ったわ」
「え」
「え」

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