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□キス一回で許してやる
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ここはヴァリアーのアジト。
その中でもだだっ広い部屋、つまりはXANXUSの部屋で澪はわけもわからず正座をさせられている。
「おい、ドカス。」
「なんすか、ぼっすん。」
「かっ消されてぇのか?」
「すいません。ホントごめんなさい。」
XANXUSの手に炎が灯された瞬間、澪は冷や汗をかいた。
それもそうだろう。
彼のこの炎が手から放たれた瞬間、このアジトが一気に灰と化すことは珠月にもヴァリアーのメンツにもわかっていたことだったからだ。
XANXUSは炎をおさめ、腕を組んでその紅の瞳で澪を睨んだ。
「それでだ。てめえは何故こんなことになっていると思う?」
「全然。」
「てめえの胸に手を当ててよく考えろ。」
「考えます故、正座といてもよろしいでしょうか?」
「そのまま考えろ、ドカスが。」
足は痺れているがこれを解くとXANXUSがキレそうなので仕方なしにそのまま考えることにした。
***
-数時間前-
「う゛おおい!澪ー!!!」
「なんだーい、スクたいちょー。」
「何だその返事はぁっ!てめえ、卸されてえかあ!?」
「あ、やる気?じゃあ、相手になるよ。」
2人は武器を構え、今にも戦闘モードに突入しそうな勢いである。
「あら、スクちゃん、女の子苛めちゃダメじゃないの。メッ!!」
「「(キモッΣ(゜□゜;))」」
オカマであり、ヴァリアーの晴れの守護者である彼女(?)ルッスーリアの言葉により、2人は一時的にフリーズした。
「あら?2人共ー?」
そして2人が石化した理由がまさか自分だとは欠片も思っていないルッスーリアである。
「あ、ところで澪ちゃん。今から一緒にお茶しない?おいしいお菓子作ったの♪」
「まじですか!?行くー♪」
「う゛おおいっ!こっちが先約だろぉ!?」
「スク隊長、話は後で聞くから。」
「そういう問題じゃねえ!今すぐ話w「じゃあ、行きましょうか。」ごるあ!ルッスーリアァ!!」
スクアーロの叫びも虚しく、2人はその場から立ち去った。
「う゛おおい……ボスに呼び出されてること言ってねぇなんてやべえよなぁ……」
スクアーロはどうしようかと頭を抱えていた。
***
「あ、姫来たの?しししっ♪」
「ム。スクアーロが来ていないということは、今日は静かにティータイムが過ごせそうだね。」
アジトの庭は綺麗に手入れされ、優雅な雰囲気を醸し出していた。
その中には真っ白なテーブルが置いてあり、そこからベルは手をヒラヒラとふり、マーモンは景色を楽しみながら紅茶をすすっていた。
「まあ、さっきまでスク隊長に捕まってたけどね。」
「姫、なんかしたの?しししっ。」
特徴的な笑い方でベルが笑う。
「多分、任務のことについてだと思うから大丈夫。」
そう言って、澪はテーブルの上に置いてある皿からクッキーをつまみ、口に放り込んだ。
「ってかうまっ!これうまっ!」
「口に合ったみたいで良かったわ〜。どんどん食べて〜。」
「食べる食べるー♪」
「あんまり食べると太るよ。」
「気にしたら負けだ!!」
暗殺部隊であるのに平和だ。
平和の象徴の鳩よりも平和なようだ。
本当に彼らは暗殺をしているのだろうかという疑問さえ浮かんでくるほどに。
まあ、『彼』が暴れださない限りは平和だっただろう。
***
あれからしばらくルッスーリアの作った紅茶やお菓子を堪能していると、気のせいだろうか。
遠くから何か殴るような蹴るような音が聞こえる。
「う゛おおいっ!俺は何も悪くね……がっ!!」
「……あり?」
「スクアーロの殺られている声が聞こえるということは、ボスがキレてるね。」
庭が凍りついた。
そこへスクアーロをボコボコにしてきたであろう、ヴァリアーのボス、XANXUSが眉間に皺を寄せながら現れた。
この緊迫した空気のなか、
「ボス、何があったんだい?」
と、口を開いたのはマーモンだった。
XANXUSの目は絶えず澪を睨み付けている。
澪はわけがわからなかった。
「……ボス、もしかして原因オレ!?」
プチッ
XANXUSの中の何かが切れたようだったが、澪はわけが分からず半分パニック状態だったので全く気がつかなかった。
「澪……来い……。」
いつもより、1トーン低い声で言われたため、澪はなすがまま、XANXUSについていったのだった。
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