SHORT
□サラサラロン毛
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とある日の昼下がり。
長髪のヴァリアーの剣士であるスクアーロは庭に出て、愛用の剣を磨いていた。
彼にとって、剣は命そのものなのだ。
剣を磨くことは彼にとって、1日の日課なのである。
「ししっ。また磨いてんの?よくあきねーな。」
通りかかった、頭にティアラを乗せ、特徴的な笑い声を発する、ベルこと、ベルフェゴールはそう言った。
「うるせぇぞ!いちいち、茶々入れんなぁ!」
「うししっ。あー、恐。」
この2人のコントとも言える会話もヴァリアーのメンバーにとっては見慣れた光景である。
それと、もう1つ。
「スークー。」
ヴァリアーで唯一女の子であるこの少女が
「相変わらず、サラサラだな!」
と、スクアーロの髪を触りに来るのも見慣れた光景である。
「お前らって変わり者だよな……ボソッ」
「は?」
「う゛お゛ぉいっ!何か言ったかぁ!?」
「べっつにー。んじゃ、俺用事あっから。バイビー。」
ベルはひらひらと手を振りながら廊下を歩いていった。
庭には2人だけが残される。
「って!お前、いつまで触ってんだぁ!」
「だってスクの髪、サラサラで気持ちいいからさー。」
スクアーロは自分の髪を他人に触られることを好まない。
現に、ルッスーリアにみつあみにされた時にはお返しとばかりに、鮫特攻(スコントロ・ディ・スクアーロ)を放ったほどだ。
振り払おうとすれば振り払えるものを、スクアーロがそうしないのは恐らく、スクアーロが澪を気に入っているからなのだろう。
それとも、他の何か……――
「いいなー。くくってみよ。」
「てめぇが髪伸ばせばいい話だろぉ!」
「あー、ダメダメ。伸ばしてもスクみたいにサラサラになんないから。
ぼっさぼさのわっさわさになるって。」
「だからって俺の髪を弄んなぁ!」
「そのわりにはやけに大人しいな。」
「…………。」
澪は上機嫌で髪をくくり始める。
スクアーロはされるがままの状態で剣を磨いていた。
(数分後)
「よっし、できたぞー。」
「う゛お゛ぉい……。」
数分後にはスクアーロの長い髪が1つにまとめられた。
つまりは、ポニーテールである。
「スクの髪、サラサラだから逆にやりにくかった!しかも長いし。」
「文句言うなぁ!」
「しばらくはこのままでいてくださいよー。勿体ないからさ。」
澪は笑った。
スクアーロは頬を少し赤く染めながらまんざらでもなさそうである。
「そういえば。」
澪は今まで気になっていたことを口にした。
「なんだぁ。」
「スクって、いつまで髪伸ばすつもりなんだ?」
「……さあなぁ。」
スクアーロが髪を伸ばし続ける理由は、一部の人間にしか知られていない。
だが、髪を伸ばす行為はスクアーロにとって、ボスであるXANXUSへの忠誠の証なのである。
「でも、スクにはこのままでいてほしい。」
「う゛お゛ぉい……。」
「だって好きだし。」
「っ!?」
「…………髪が!」
「髪かよ!!」
スクアーロから澪の表情は見えなかったが、その時の澪の頬は少し赤かった。
サラサラロン毛
(こっち向けよ)
(やなこった)
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ほのぼの万歳\(^^)/