SHORT

□ボンゴレ式修学旅行 Varia ver.6
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「ど、どーすんだぁ……ボス」

屋敷の庭の木の上にて。
気配を消した幹部達がリベンジのチャンスを狙っていた。
達成率が低ければ、任務を中断することもあったが、今回は事情が違う。

「流石に……な」
「服着てないから無理でした
じゃねぇ〜……」
「知るか、だそうですー」
「ゔお゙ぉい!
それで済んだらオレ達はこんな苦労してねぇぞぉっ!」
「大きな声出すとー、また見つかっちゃいますよ」

 スクアーロはぱっくり開いた口を閉じて、唸った。

「ゔ……うぅ…………」
「ししっ、さっきのだってスクアーロのせいだしな」
「なんだとぉ……!!」
「るせぇっ、だそうですー」
「……で、結局どうするの?」

 一度会話が途切れたので、ルッスーリアが仕切直した。

「……どうしようもないならば、これで闘うしかないだろう」
「マジでヤバい状況になったんなら、なりふり構ってる暇はねぇからなぁ」
「………………えー?
ボスー、もう一度言ってくださいー。
…………あー、成る程ー」
「どーしたんだよ、カエル」
「ボスが言うにはー
幻覚出して服作れカス、
だそうですー」

 その場で全員が納得した。
 それならタオルを気にしなくても良い。

「ボスゥ、流石でむぐ」
「だからうるせーって、タコ」
「なぬっ」
「じゃー幻覚いきますねー」

 スクアーロ達の身体が霧の様な物に包まれた。



「…………」
「ちょっと。
これどう見たってサンバの衣装じゃない……!!」
「似合ってますよー」
「てんめー、殺すぞカエル」
「えー、じゃあー……」



「……………何故ふんどしだけなんだ……」
「タオルと変わってないじゃない……!!」
「葉っぱだけよりかはマシですよー。そういう集団いましたしー」
「あー、なんかいたわね」
「似合ってますよー」
「黙れ……!!」
「チッ。
あー、舌打ちしちゃいましたー。
じゃー、次ー……」




「ゔお゙ぉい……!
なんで兎の着ぐるみなんだぁ……!!
しかも、
なんかやたらと可愛いじゃねぇかぁっ……!!」
「似合ってま」
「いい加減にしねぇと三枚におろすぞ……!!
完全にオレ達で遊んでるだろっ……!!」

 フランは口を尖らせた。

「えー、どんな服がいいんですかー?
ミー、わっかんなーい」
「わっかんなーい、じゃねーって……!!」

ベルはナイフが無いので、フランを小突いた。
しかしそこは木の上。
足場が悪く、いつもの癖でナイフを投げられると思っていたフランが意表をつかれ、ぐらりと傾く。

「あ」

 慌ててベルがフランを掴み、
更に堕ちそうになったベルをルッスーリアが掴み、
ルッスーリアをスクアーロが掴み、
スクアーロをレヴィが掴んだ。
 一瞬動きは止まったが、レヴィのバランスのなさが災いし、 

「あー」
「い゙っ!?」
「うぉっ」
「え゙」
「おぉ?」

皆でドサッと堕ちた。
 
「いたぞ!!」
「あそこだ!!」

再び、マシンガン男達に囲まれるVaria。
 レヴィが一番上に乗っているのでなかなか身動きが取れない。
万事休す。

「く……っ!!」
「わー」

フランはそれでも幻覚を出さない。

「撃てーっ!!」
「っ!!」

なんとかレヴィを蹴飛ばし、立ち上がったスクアーロ達が身構えたが、マシンガン男達は既に引き金を引いていた。

 弾丸がスクアーロ達を砕く


















その直前、凄まじい熱量が辺りを焦がした。

「わー」
「この炎……まさか!!」

 紅蓮の景色が不意に白く変わった。
 スクアーロの目の前に、白いライガーのベスターが現れたのだ。
 XANXUSがそれに跨がっている。

「カスが」

傲慢な声色で吐き捨てると、XANXUSがベスターから降りた。
憤怒の炎は弾丸ごと、一瞬で男達を炭化させ、悲鳴すら上げさせなかった。

「どいつもこいつも、使えねぇカスばかりだな。
まあいつものことか」

 欠伸一つすると、ボロボロになったマシンガン男の頭をスクアーロに投げつけた。
 スクアーロの顔面で頭は破裂した。

「グホッ!!
ゲホッ……ゴフッ……………………、ゔ、ゔお゙ぉい!!
てめぇがさっさと服を持って来ねぇから悪いんだろーがぁ!!
そしててめぇ………………!!


なんでまだ浴衣着てんだぁ!!」
「………………」

10年前から来たままの格好のXANXUSはスクアーロを無視した。

「今回の任務は?」
「屋敷内に居る人をー、皆殺しですー」
「フン……」
「ま、待て!!」

 屋敷に向かおうとしたXANXUSをスクアーロは引き止めた。

「オレ達の服は何処だぁ!!」

XANXUSは振り返った。
はぁ?、という顔だ。

「なんで持って来ねぇといけねぇんだ?」
「あ゙ぁぁ!?
じゃ、なんで来たんだぁっ」
「今日、此処では盛大なパーティーが開かれてるからだ」
「………………は?」

 今度はスクアーロがキョトンとする番だった。

「わけ分かんねぇぞぉ……」
「パーティーっつったら
豪華な料理だろうが」
「まさかっ、またてめぇ食い物に!?」
「結局旅館で何も食えなかったんだぜ?」
「いや、まあ、……そうだが…………アジトで食えよ……」
「アジトにも肉なかった」

XANXUSは言い残すと、もう用はないとばかりにスクアーロ達から去り、屋敷に突入した。




何かあってもボディーガード達がなんとかしてくれる、と思いこんでいた平和な金持ち共は、あっという間に炎に蝕まれ、

散った。



「………………」

たった一分で屋敷ごと標的を丸焼きにしたXANXUSは、肉の入った皿を片手に悠々と出てきた。

「お帰り、ボス」
「おつかれさま〜〜」
「相変わらず速ぇなぁ」
「………………」

幹部の賛辞を聞き流し、ベスターにもたれ掛かった。
 皿で塞がってない手をレヴィに突き出す。

「ナイフ」
「持ってないです」
「フォーク」
「いや、それも…………」

XANXUSは腹いせにレヴィを蹴り飛ばすとスクアーロ達を睨んだ。

「ねぇよ」
「ないわよ」
「ナイフ、ぜーんぶ置いてきた」
「ベル先輩のナイフならありますよー」
「いらねぇ」

スクアーロ達もXANXUSの蹴りを味わう羽目になった。

「ベスター」
「Gaa!!」

仕方ないのでXANXUSはベスターに肉をあげた。
美味そうに食べるベスターを見て更に不機嫌そうな顔をしている。

「…………………帰るぞ」
「じゃ、じゃあヘリ呼べよ。
この格好じゃ帰れねぇからなぁ」
「はぁ?
オレが呼ぶのか」
「お前はアジトに連絡できるだろぉ?
携帯持ってんじゃねぇのかぁ」
「持ってねぇ」

XANXUSは肉を食べ終わったベスターに跨がった。

「帰る」
「待゙っ」

ベスターは風、というよりも嵐のように駆け抜けた。
直後、誰かのタオルが暴風に吹かれて舞った。

「ぬうーっ!!」

 レヴィのタオルだった。
 半裸から全裸になったレヴィ。

「わー、レヴィさん汚いですー」
「汚いとはなんだ!!」
「前隠せって」
「あーあー。
タオルがあんな所にー」
「誰か、誰かタオルを!!」
「……マジで葉っぱで隠すか?」
「嫌だ!!」
「それこそ幻覚を使えばいいんじゃない?」
「めんどくさいですー」
「なっぬうっ!?」
「……っつーか……………



早くオレ達を10年前に戻せえ゙えぇ゙ぇぇっ!!」

スクアーロの叫びは虚しく、月が出はじめた空に響いたのであった。
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