夜桜が散る時に
□move
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――パチッ
目を開けると目の前には知らない女の子が……あぁ思い出した。そういえば昨日一緒にここに入れられたんだっけか?
彼女の肩を揺らし目を覚まさせる。
『起きろ』
「…んー……え?…あ、おっおはようございます!!」
『あぁ、おはよう』
「あの…」
『ここは新撰組の屯所』
状況は飲み込めてない彼女に簡単に説明をしてあげた。すると思い出したのか、だんだんと顔色が悪くなっていった。…面白い。
「私達、殺されちゃうんですかね…」
なぜ僕が入ってるんだ?僕が人間に殺されるわけがないだろ。返り討ちにするさ。
『…さぁな』
「……あ、あの。名前はなんと『…誰か来る』??」
襖を開けて入って来たのは優しい顔つきの男。
「おや、起きてましたか。今縄を解きますね」
手首以外の縄を解いてくれた彼はいい人間だ。あいつらの仲間だろうが、殺気が飛んでこねぇからな。
「昨日のお話をしたいんですが、ついて来てもらえますか?」
「…はい」
僕は何も言わず立ち上がり、彼の後に続いた。
ある部屋の前で足が止まった。中からは数人の気配。
…尋問。か
襖を開かれ中に入るように言われる。僕達が入ると軽く殺気が飛んできた。慣れてない彼女にはキツイだろうなー。かわいそうに。
「おはよう。昨日は良く眠れた?」
「寝心地は良くなかったです」
「僕がさっき見たときはぐっすりと寝てたのに?」
彼女の顔が赤くなっていくのが分かった。
人の寝床に勝手に入るのは最低だ。まぁ、冗談だろうがな。
「冗談だ。総司は部屋になど行ってない」
やはり冗談か。
「酷いなぁ一くん。バラさないでよ」
人をからかう方が酷いとおもうけどな。僕は…
「――で、こいつらが目撃者?まだちっこい餓鬼じゃん」
餓鬼?…人を(僕は鬼だけど)見かけで判断するのは良くないぜ?
「おいおい、お前が餓鬼とか言うなよ」
「お前も十分餓鬼だしな!!」
「うっさいなー。オッサン2人は黙ってろよー」
じゃれあいだした(?)3人達を横目に僕は眠さゆえ、欠伸(あくび)をした。
『ふわぁーあ』
「…君、自分の立場わかってんの?」
『あ?…別に?欠伸しちゃわりぃわけ?良いだろ別に。つーかさ、聞きたい事あるなら無駄話してねぇでさっさと聞けば?』
「…君の言う通りだな。じゃあ本題に入ろう。では、昨日の報告をしてくれないか?」
新撰組の局長(たしか)近藤勇は真剣な顔つきになり、その場の空気を変えた。
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