蕾が咲いた
□泗
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「僕を無視するなんていい度胸だね」
『…聞きたい事とは何でしょうか?』
「……(睨)」
「あ、あぁ…そうだな。本題に入ろう。まずは改めて昨晩の話を聞かせてくれるか?」
僕達に聞かれたのかと思い、口を開こうとしたがマフラーに聞いていたらしく、マフラーの彼が淡淡と答えた。
「昨晩、京の都を巡回中に浮浪の浪士と遭遇。相手が刀を抜いたため切り合いとなりました。隊士等は浪士を無力化しましたが、その折彼らが"失敗"した様子を目撃されています」
失敗?…まるで実験をした。とでも言ってるようですねぇ。
「私何も見ていません!!」
マフラーの彼が話終えたと同時に全てを否定した雪村さん。嘘をついたって仕方がないのに。よくまぁそんな嘘をつきますねぇ。貴女が"それ"を見てしまった事を相手はわかっているのだから無意味だと言うのに。
「本当に?」
「はいっ!!」
「ふーん。見てないならいいんだけどさ」
「あれ?総司の話では君達が浪士を助けてくれたって話だが…」
…あぁ、なるほど。誘導尋問と言うやつですか。このままほっとくのも良いですが、守ると言いましたし、ねぇ…
「ち、違います!!私は『雪村さん、今何を言おうとしています?』…あ」
キッと、数名に睨まれましたが、僕はニコッと雪村さんに笑顔を向け(もちろん作り笑いですが)
『クフフ…良く考えてから言葉を発しなさい』
「…はい」
俯く彼女を横目に僕は3人組を見る。そして軽く幻術でもかけてやろうと思ったが沖田総司が話したため、やめた。
「あーあ、あともうちょっとだったのになー」
『すみませんねぇ止めてしまって(ニコッ』
「…ホントにそう思ってんの?」
『……思ってますが?』
「ふぅーん…」
その場に重たい空気が流れる。まぁ作ったのは僕ですけど。
『…で、僕達の対処はどうするんです?』
「――殺しちゃいましょうよ。そっちの子は誘導尋問にあったらすぐに吐いちゃいそうだし、こっちの彼は色々と危なそうだし。口封じするならそれが1番じゃないですか」
「そんなっ!!」
口封じ?…やはりあの狂った人間は誰かに見られてはいけないモノだったのですか。しかし、口封じのために殺すなんて…今も昔も変わりませんねぇ。
「…あれ?本気にしちゃった?冗談のつもりだったのに」
「冗談に聞こえる冗談を言え」
『彼の言う通りですよ。この子は女性なのですから。殺気など向け、信じられませんねぇ』
「「「「!!!?」」」」
おや?やはり彼ら3人は気づいていましたか。
「えぇ〜!!お、女ぁ!?」
「おいおい…」
「一生の不覚。まさか君が女の子だったとは…」
男装してたとはいえ、これほど可愛い女性に気づかないとは、失礼な奴らですねぇ。全く
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