君の隣(庭球長編)
□君の隣:0話
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チュン…チチッ、バタバタ…!
鳥の囀り…鳥の羽ばたく音…
それを聞きながら、一人も生徒がいない道をゆったりと歩いている少年がいた
『ふぁぁー…あー寝みぃ…2年が新学期早々遅刻かよぃ…』
一人呟きながらも焦る表情もなく、ゆったりと歩き続ける少年?
しばらくすると大きく立派な学校に着き、閉じられている門を身軽にひょいと乗り越えて中に入って行く
『これから行ってもどうせ1時間目はサボりだな…屋上にでも行ってくるか』
そう呟けばポケットに入れていた手を出しそれと一緒に銀紙に包まれたガムを取り出し、包んでいた銀紙を取れば口に入れクチャクチャと噛んで靴箱に行き、そのまま上に上がる階段を歩いて行けば屋上につく
少年は鍵が掛かっている屋上の扉を針金で開けたら、フェンスがある場所まで行きフェンスに寄り掛かりながら先程食べたガムを膨らませる
空を見上げていた視線を下にあるテニスコートに移せばため息をはきながらポツリと呟いた
『…テニス、してぇな…』
テニスコートを見る目はどこか嬉しそうにしていて、口角も上がっている
男物の制服で、正々堂々と遅刻をして、男口調の少年を兄以外の誰が少女と気付くか…
この季節は、まだ始まったばかり…
END