ゆめ
□わたしにできるコト・弐
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どうしてこうなるのか。話たかったのはそんなコトではない。去ってしまった後にはっとし、自分の馬鹿さに苦笑した。
何故今更あんな夢を視た? 最初はいつもと変わらぬ夢であった。自分の過去を戒めるような悪夢。守りたい者を守れず、ただ傍観するコトしか出来なかった、あの時の愚行が何度も出でていた。
だが、あれは何だったのだろう。いきなり場面が変わり、守りたかった彼女が目の前に立って、自分の手を優しく包んだ。
「大丈夫。大丈夫よ、ナバール……」
そう言って、彼女は微笑んだ。優しく、懐かしく微笑んだ。
そして、俺は彼女の名前を呼ぶと、彼女は少し困ったような顔をして笑うと、言葉を紡ぐ。
「もう、いいのよ……もう苦しまないで、ナバール」
そこで目が覚めた。苦しまないで、とはどういうコトか。今でも鮮明に残る言葉は、あの悪夢を連想させたが、すぐにかぶりを振る。たかが夢だ。そう思って、あの娘に話そびれたコトを話に行くため、きびすを返して歩き出した。