短編

□水無月。
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「雨だね、風介」

「ああ、雨だな恋歌」

「じめじめだね」

「じめじめだな」

「・・・アイス美味しい?」

「美味しい。」



そんな会話を、風介と恋歌は交わす。

その場は、おひさま園であった。



「ねえ、風介は、アイスにカビがふいてても食べられる?」

「そんなもの食えるか。無理に決まってるだろ」

「じゃあ腐ったアイスは・・・」

「一緒だろ」



なんともぼのぼのとした風景である。



「じゃあ最高級のアイスがマリアナ海溝にあったら取りに行く?」

「生きて帰れるとでも思っているのか?」

「じゃあエベレスト山までは取りに行ける?」

「行っても10mぐらいで諦める」



そんな無愛想な風介の対応に、恋歌は口を尖らせる。



「早いよ、諦めが。努力は必ず道を開くよ」

「馬鹿者が。生きて帰らんとするような努力は嫌だ」

「大丈夫だよ、風介なら」

「その根拠の所為でわたしが死んだら責任を取れ」



ことごとく、打破。

口喧嘩で、風介に勝てる者は誰一人としていない。



「アイスなにあじー?」

「・・・ソーダ」



だがしかし。

勝つことは出来ずとも、対応が出来るのは恋歌だ。

冷徹VS単純である。

単純(恋歌)がただ単に違う話題を取り出して会話を続けるだけなのだが。



「ソーダ、わたしにもくださーい」

「食べかけを?」

「冷たい物が食べたいのー」







「・・・(食べかけを食べる意味が分かってるのか?)」

「ねえねえちょうだいよー」
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