誰だって好きな人には構ってほしいもの、
もちろん例外なくあたしもそうであって。
だけど彼氏である征十郎は隣で本に夢中になっている。
折角今日は部活も休みで、二人して征十郎の部屋にいるってのにちっとも甘い雰囲気になりやしない。
『ねー…』
「……」
『せいじゅうろー』
「……」
『…むー』
Tシャツのすそをひっぱっても、名前を呼んでも一向にこっちを向いてくれない。とうとう痺れを切らしたあたしは彼に抱きついた。
「っ、なまえ?」
『う〜』
「はぁ…仕方ない子だね」
ぱたんと本を閉じた征十郎は、あたしの身体を持ち上げて自分の膝に座らせた。
そのままぽんぽんと頭を撫でる。
「で、何が不満?」
『征十郎、構ってくれないんだもん。折角二人きりなのにさ…』
彼の胸元に頭を埋めると、上から笑い声が聞こえる。
顔を上げれば、キスが落とされた。
「これで満足?」
『…やだ、もっと』
「随分我儘だね」
『…嫌い?』
「今日は許してあげるよ」
その後どうなったかは、二人だけの秘密。
わがままプリンセス
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