「……」
『……』
「……」
…何この居心地の悪さ!!!
現在わたしはとある人物からものっそい視線を受けている。
うん…圧力が半端ない、これが刑事と犯人だったら間違いなく自白してるだろう。
その人物とは赤司征十郎。「キセキの世代」と呼ばれたチームの主将を務め、現在はこの洛山高校の主将である。ファンクラブもあるとか噂されている彼だが…どうもわたしは苦手だ。
圧力に耐え切れず、どもりつつ名前を呼んでみた。
『あああ赤司くん?』
「…何だい?」
放課後、忘れ物をとりに教室に行ったら赤司くんがいて。わたしの前の席に腰掛けてかれこれ10分間、視線を外すことなくこっちを見続けている。
何だはこっちの台詞だ!というツッコミは後が怖いので心の中にしまっておこう。
『部活、行かないの?』
「今日は休みでね。皆自主練さ」
『あー…そうなんだ』
「……」
『……』
「…なまえ」
『はひぃ!?』
急に名前を呼ばれたものだから思わずガタンと音を立てて立ち上がってしまった。
え…っていうか今、名前で。
「…僕と付き合え」
『へ…?』
「これは決定だ。いいね」
何で上から目線なんだとかしかも決定かよとかツッコミどころが満載で、逆に何も言えなくなってしまった。
口をぱくぱくしているわたしの視線に合わせ、彼も席を立つ。
赤と黄の綺麗なオッドアイが真っ直ぐ私を見つめる。
「返事は?」
『は、い…』
「ん。よし」
そういってにっこり笑った赤司くんは満足したようで教室から出ていった。
「…なまえ、好きだ」
『!!!』
その時聞いた優しい声はずっと忘れないんだろう。
小さな恋心が芽生えるPM5:00
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