『ふぇーん…うっ、う』
「なまえ?」
お昼の時間も終わり、日陰で本でも読もうかと訪れた場所には先客がいた。
小さな身体を更に小さく丸めて泣きじゃくっている姿は、小動物を連想させる。
『…あかし、くん』
思わず名前を呼べば、ぱっと顔を上げた彼女の濡れた瞳と視線が合う。
泣きすぎて真っ赤になった瞳。うさぎみたいだ、と思いながら隣に腰を下ろした。
「どうしたの?」
『…おとこのこたちがいじめるの。おまえはぶすだって』
…ああ。そういうことか。
なまえは誰にでも優しい。それに加え、いつも可愛らしい笑顔でいるため皆から好かれている。
大方、なまえをブスと言った男子達は構って欲しいが故のことだろう。
いわゆる好きな子いじめだ。
…けれど。
「ゆるせない、な」
『あかしくん?…わふっ』
抱きしめてみたら思ってたよりもちっちゃくて。
「これからはぼくがまもってあげる」
『え…』
「だから、もうなくな」
『…うん!』
この小さな女の子の笑顔を守りたいと思ったのは、何故だったんだろう。
泣き虫えんじぇる
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