追想の篝火
□第4話
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「‥‥山田、
私と勝負しろ」
山田とは
空気の読めない少年のことだ
「え?や、やだよ。
お前いつも俺にばっかやつあたりすんだもん」
実際にそうだった
腹いせに勝負がついても
容赦なく竹刀を振り回す
「完璧に勝てる奴に逃げたな」
「うん」
「まぁ落ち着きなさい
清芽も負けていませんよ。
それに貴方は剣を振るうより体技のほうが得意ですからね」
「‥‥‥」
清芽は松陽の言うことを
黙って聞いている
松陽の言葉に偽りはない
清芽は体全体を使った技のほうが得意なのだ
「だから悔しがることはありません」
話を聞いているうちに
清芽にも笑顔が戻る
「それでは今日はここで終わりにしましょう」
皆、返事をして
解散した
「‥‥先生のおかげで
今日は助かった〜」
一人呟く
山田だった