そっと、さよなら
□ふたつ
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みんなとはぐれて、お腹も空いて
倒れていたはずだった。
目が覚めると、映ったのは......
――「あ、の...ティキさん。
すいません...」
ティキと名乗る
私の恩人
その男はジロっとこちらを向く
「気にすんな。俺が勝手にしてるだけ。
......あと、“さん”も敬語もいらねーよ」
「あ、えっと...」
私はコクッと頷いた
会ったばかりの他人なのに...
(...優しい人だな....)
私の中で何かが揺れた
前を歩く大きな背中を
見つめる
初めて会ったのに
不思議な安心感があった