姫が武士
□女の生きる道
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安政5年
兄上の御出世
二度養子に行き、私の知らないところで日々心身を修練なさった
若くして紀州藩士を勤めあげ、一橋派と争いやっと征夷大将軍となられた
幼い頃の記憶しか殆んどないが、たいそうよく可愛がってもらった。
兄上はいつも私の憧れであり、生きる糧であった。
私が身請けする話を聞き、わざわざ文を下さった。
それがどれだけ嬉しかったことか…
私は兄上以外に自分の心を打ち明ける相手がいなかった。
武士として日々精進している兄上に対し、何も出来ず見ているだけの私…
私の人生は何なのだろう…
定め