WORKING!!2
□終わりよければ
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当たるも八卦当たらぬも八卦と言われる占いをしようにも、私は何も知らない。
相馬さんは秘密主義だ。
生年月日、星座、干支……占いには色々と個人情報が必要なのだが、私はその内の一つも知らない。
唯一、血液型占いは出来そうなのだが、いくら予想に自信があるとはいえやはりそこは正確に占いたいものだ。
「相馬さん、生年月日教えて下さい」
「やだ」
「じゃあ誕生日だけで良いんで。あと干支も良かったら」
「それ生年月日教えるのと変わらないよね」
「ばれましたか」
二十歳前後だと思われる相馬さんの年齢すら解らないとはいかがなものか。
どうにかして年齢が解りそうなものを求めては華麗に却下された。
「じゃあ星座だけでも」
「やだ」
「じゃあ血液型」
「やだ」
あくまで二言で済ませる笑顔の相馬さんに「相馬さんABでしょ」と言っても「さぁ?」とやはり二言で済まされてしまった。
表情から予想が当たっているかは解らない。その笑顔が憎い。
「なんで俺の事そんなに知りたいの?」
「占いに使用するからです」
とは答えられない。
なんとなく馬鹿げているし、何よりそういうのが嫌いそうだ。「あんなの信じるんだ、ふーん」なんて冷たい反応が返ってくるのが想像できる。
「同僚として、知っておきたいかなーって」
苦し紛れにそう答えると「緊急連絡網作るから連絡先よこせって発想だね」と返された。なかなかグサリとくる。
「素直に言えばいいのに」
「言ってるじゃないですか。生年月日教えて下さいってこんなに何度も」
「だから、その理由」
「そこは秘めておきたいのですが」
これくらい、そちらの秘密に比べたら可愛らしいものではないか。
どうか深く追求してくれるな……と願っていると「うーん」と相馬さんはうなる。
「なるほど、確かに変なところで意地っ張りだ」
「え、何の事ですか?」
よく解らず質問するも、相馬さんは構わず続ける。
「素直にさえなれば相性は悪くないんだけどなぁ」
「相性?」
「うん、俺たちの。きっと占いにでも使うんだろうなと思って、こないだ良く当たるって占いがあったから先に調べておいたよ」
ニコリと、先ほどまでより数倍爽やかなのに比例して数倍黒く見える笑顔で説明する相馬さん。
全てお見通しなのだ。その上で私から理由を聞こうとする辺り、彼はなかなか意地が悪い。
そんな意地悪と意地っ張りが不思議と相性は悪くないらしい。
生年月日よく知ってたな、だとか結局そちらの生年月日は教えてくれないんだな、だとか色々と釈然とはしないが、ここはひとつ素直になってその結果とやらを聞いてみようか。